ほうれん草になる

秋雨の中、ふみと下園道を歩く。



「ママ、ふみちゃん今日タケノコ食べたよ」

「タケノコ?キノコじゃなくて?」(旬でもないのに?缶詰のかな)

「タケノコ。ふみちゃんお野菜食べた。」

「わ〜それはえらい、あとどんなお野菜食べたの?」

「…」

「ほうれん草食べた?」

「う…ん、食べなかった。でもね、ふみちゃんはお野菜のナカマになったら、もうお野菜が好きになるよ」

はははは、これはまた何の理論でしょう。


「仲間?じゃ、ふみはいつお野菜の仲間になるのかな」
「う…ん、ふみちゃん、12月になったら、ほうれん草になるからね」

「ほうれん草?それは楽しみだね」

「でもね、ほうれん草の次は、ふみちゃんキャンデーになるからね」

キャンデーもお野菜の仲間ですか。




お風呂に入る前に、
ふみはビデオのリモコンを持って急に目の前に現れ、
「お客様、なにがいいでしか?」

お、これはレストランの店員さんね。
「えーっと、ウーロン茶と、ゴマ団子をください」、なんでゴマ団子?

「はい、わかりました。あの、お子様セットはいかがですか?」
「あ、そうですね、お子様セットはなにがありますか」

「う…ん、中ラーメンと大盛ラーメンでし」
「ラーメン?すみません、うちの子はラーメンがあまり好きじゃないから、カレーセットはありますか」
「はあい」
「じゃそれもください、以上です」
「コーンスープいかがでしか?」
店員さんは、なかなかしつこい。

「じゃ、おうどんはありますか」

「はあい、ありまし。辛いうどんと甘いうどんとおいしいうどん、どれがいいでしか」
「そりゃ、おいしいうどんに決まってるんじゃない」
「あ、みんな買うので、おいしいうどんは、もう…」
「もうないですか?なんなんですかこの店は」

店員さんは走って奥に行って、適当に絵本を持って来て、
「はい、辛いうどんでし、おいしいよ」

辛いうどん!?嫌いじゃないけど、というか、好き。

湯上がりのふみは、テレビから流れてきた《千の風になって》の「私のお墓の前で〜泣かないでください〜」と聞いて、
「はんにゃあ、はらみた…」と始まった。


パパ、ママ爆笑。
なんでこの反応が?
“お墓”という言葉に?それともメロディーに?





今日は朝から雨。
秋雨、綿々と。

赤い傘・赤いバッグ・赤いレインブーツのおかげで、雨も楽しくなったわたしです。