舟で千葉へ?
寒気が来ているため、昨日に引き続き、「文化の日」の今日も最高気温14度の寒さだが、快晴。
9時過ぎ、ふみと出かけた。
大通りに出るところに小さい公園がある。そこのブランコに、ふみは珍しく座った。
ふみはブランコが苦手である。ずっと前に保育園の先生にもそう教えられてた。
先生は、ブランコをさせたほうがいいですよ、将来、車酔いとかにも効果的だと言ってた。
けど、ふみはなぜかブランコがちょっと苦手。だから今日は積極的に乗ってるのが、わたしは意外だった。
それより、わたしもブランコに乗った。
そう、わたしは大のブランコ好きなんです。
どんどん高く揺らして、澄んだ青空と枯れてきてる葉っぱが、目の前まで近くなったり遠くなったり、なんだかこの世じゃない気がして、心まで遠く飛んで行きそう。
そばにいるふみは、謙虚で、謹んで、息を殺して揺らしてる。
「ママ、あまり高いと落ちちゃうよ」、ふみは止まって、わたしをぼーっと見て独り言のように言った。
「ぼく、そっちがいい」とふみはそう言ってこのトンネルを登り始めた。
一番上に登って、「階段がないから滑り台で降りるね」と、ふみは裏の滑り台から素早く降りてきた。
大通りのこっち側は日陰で、寒い寒い。
「ふみ、走ろうか、暖かくなるわよ〜」と、わたしふみの手を繋いで走りだす。
「ファイト、ファイト」、思わず声を出して笑った二人、けれど足は止まらなかった。
少し前、心臓の調子が悪く、走るなんて考えられなかったけど、
最近かかっている気功の先生のおかげで、だいぶよくなって、こうやって走りたい気持ちも自然に出てきたのに、自分も驚いたことである。
警察署の前で、そうだ、剣道教室のことをちゃんと聞いてみよう、ふみは剣道を毎日のように口にしてるから。
外に立っている警官に訊ねて、すると、中へ案内してくれた。
え〜〜、ただ何歳から入れるかと聞くだけなのに…。
何人かのがっちりしている警官に話を聞かれ、内線電話で少年課の責任者を呼ぶとのことになった。
え〜〜、いいのに、ただ何歳から入れるかと聞くだけなんですけど…
ソファーで待たされ、間もなく、やっぱりがっちりしている50歳ぐらいの警官が降りてきた。剣道を教える方だそうだ。
話を聞くと、小学校2年生ぐらいからじゃないと、ちょっと難しいとのことだった。
お礼を言って警察署をあとにした。
ふみ、ちょっとがっかりしてるみたい。
「最初は主に礼儀を身につけさせて…」とのさっきの警官の話が、わたしは嬉しかった。
だってふみは脱いだ靴下や服とか、ちゃんと畳んだり、あるいは洗濯物の場所に置いたりすることを全然しないもの。
剣道がどう強くなるより、ふみがキチンとして、礼儀正しく、精神の強い人間になってほしいんだママは。
さあ、新宿高島屋まで歩こう、というか走ろう。今日は子供美容室に予約があるんだ。
休日の人影がやや少ない街道で、ふみとファイトファイトと、走ってました。
たちまち、暖かくなりました。
コンビニのこの提灯が、もう似合うようになったこの季節だね。
高島屋まで歩いて行く人、おとなにもそうはいないでしょう。ふみ、えらい!
髪を切りながら、ふみはお姉さんとお喋りしてた。
なにを言ったのか聞こえないが、お姉さんは何回も笑った。
椅子から降りて、ふみはお姉さんの案内なしでシャワーのところへ行った。
仰向きになったふみは、
「ふみちゃん、シャワー浴びても全然泣かない?」と、褒め言葉を誘導しているのが聞こえた。
思わず笑っちゃった。
バリカンで刈り上げされても全然平気なふみでした。
髪をかっちょよくスタイリング剤で仕上げ、ふみと電車に乗って帰ってきた。
眩しい陽射に向かう長い道を、わたしはやっぱり後ろ向きに歩く。
初めてじゃないから、ふみはもう慣れてる。
けど、怪訝な目でわたしを見る方がいることに、初めて気づいた。
ほほほ、健康法だよ健康法。
でも本当、相当疲れるわ前に向いて歩くより。
「ふみ、車、来てない?」
「来てない」
「自転車も?」
「自転車も」
「本当?」
「本当」
「中丈夫?小丈夫?」
「…、大丈夫」
はははは。
今日は、いくら見ても亀さんを発見できなかった。
どこに隠れたのでしょう。
ふみを昼寝させてる時、
ふみは天井を見ながら、「ママ、そこを見て、動くんだよ、お舟に乗ってるみたい。」
「お舟?そんなに揺れてるの?」
「お舟に乗ってね、千葉に行くんだよ」
「…」
この人、江戸時代の殿様だったのかしら、ちょっと本気に思うようになったのかも。
温まるぅ〜
ふみは、おうどんをさほど好まない。蕎麦なら言うことないでしょうね。
夜、ガスストーブをだした。
去年は、このガスストーブのスイッチを、テープなどで止めて、“ふみ避け”でたいへんだったもんね。
もうそれは要らなさそうだわ。