大殿様

今日は26度近くなって、暖かいお出かけ日和です。



ふみと南北線に乗って、六義園に向かいました。


六義園の入り口に、案内のボランティアのおじさんに声をかけられ、洋館が好きと聞いたら、その方が一カ所の洋館を紹介してくれて、中に入れますし、なかなかいいですよとその方が親切にお話ししたが、
分かれてすぐ、その洋館の名称を思い出さないわたしです。


六義園、いつ行っても穏やかで、落ち着いてる。



入り口のこの巨大なさくら、花が散っても、葉っぱが枯れても、やっぱりなかなかの風貌だわ。



美しい〜 ため息つくほど。



お抹茶を頂く。



もみじも少し色が付いてきたね。




大きい鯉や鴨や亀がたくさんいて、ふみは餌をやりたがる。餌、持ってきてないわ、入口に売ってたのかもしれないけど、よく見なかったから。



隣りで鯉に餌をやっていた男性の方がその時、黙って自分の持っている麩のような餌を、袋ごとわたしに渡してくれた。
「え?いいんですか?すみません」

その方は無言で去ろうとしてる。あわててふみに、
「ふみお礼は?」と言うが、ふみは手早く袋を持って、もう鯉にやってる。
わたしの話を聞いて、まったく心もなく「ありがとう」と適当に言った。


「ありがとうございます」と、わたしはあらためてお礼を言うと、その方は黙って無表情で行ってしまった。



亀はやっぱり鈍くて、いくら餌を目の前に落としても、機敏な鯉たちに奪われる。
仕方がありませんね。


地図を研究するふみ。



休むふみ。




こんな橋を渡る時のわたしは、苦手により、別人になると思っていいほど。

「ふみ、ふざけちゃだめよ、勝手に動いたら、もう橋の下に落とすから。鯉とか亀とかふみを食べにくるから…」、柵のない橋のせいで、わたしはこうなるんだから。



風が出てきて、入口のあの大きいさくらは、枯葉吹雪になって、なんとも言えない光景で、季節の移りゆく瞬間を目で確認している感じがした。



雑木林に向かって、ふみは突然、
「とのさま!とのさま!おおとのさま!!」と呼びかけるのです。

「何を言ってるの?」と聞くと、
「おおとのを呼んでるの」
「お殿様?」
「大殿様だよ。もりせいこう」
「…、も、もりせいこう?…、誰?」
「大殿様。僕のお友達」

??何の話?これまた。

「そのもりせいこうという殿様は、そこにいるの?」
「今日はいないね。もう亡くなってるから、草とか木を食べてるの」とふみは淡々とお友達のそのもりせいこうの殿様、いいえ、大殿様のことを語ってくれる。

「もりせいこう様は、どんな感じな人?」
「かっちょいいよ、大きいし、かっちょいいの」

ふみにそんなお友達がいるなんて、ママは知らないわ。うちにある絵本にもそのような名前の殿様は載っていないはず。


そこらへんにある適当な絵を指さして、
「あら、ふみちゃんのお友達のもりせいこうさんじゃない?」
「違うよ、もりせいこうはね、目がきらきらしてるの」
あらま。



お腹がすいてきて、六義園からでて、道端の王将に入りました。
「王将」、噂はかねがね聞いてましたが、まだ入ったことがないんです。


11:30の開店で、開店と同時に、もう行列し始めてる。

ふみと一緒に並んだ。


餃子の王将だから、餃子を食べるのは当然だ。どんどん焼き上がる餃子を見ているだけでもおいしそう。
「ふみ、餃子食べようね」
「ママ、僕これを食べる」とふみは壁のポスターを指さす。
中華飯だ。
写真には、ご飯に載せてるとろみの野菜の中に、一個のえびと一個のイカが写っている。

エビには目がないふみは、そのたったの一個のエビに惹かれて、どうしても中華飯を食べるという。

「餃子はママが食べて、ぼくはこれだけでいい」とふみが。
ふみはその野菜のとろみとご飯を食べるはずがないのに。



店は小さいが、回転が速い。すぐ中で座れた。


焼き餃子が出てきて、中華飯がでてきて、
ふみは、中華飯の上のとろみの中の一個のエビと一個のイカを食べ、
なにごともないように、餃子を食べ始めた。


なんなのよ!

お酢をかけてくれる?」とふみは指示をだす。

もりせいこうのつもり?!

「ママ」
「なに?」(あやまってくれるのかな?)
「ママ、ご飯、まだ残ってるよ。全部食べてね」

はぁー?!
信じられない…。


そして、文句を言いながら、わたしはレンゲで中華飯を食べる。だって、残していいっていう雰囲気じゃないんだもの。
中華飯、おいしいけど、ちょっと塩辛い、それに量が多い。しかしこんな量なのに、こんな値段で、なるほど王将は人気だね。



南北線に乗って最寄の駅に降りたら、もう完全に晴れて、日差しが強い。


帽子も傘も持ってなく、日差しに向かって歩くのはいやだから、
わたしに後ろ向きに歩くことにした。ふみは普通に前を向いて歩いてる。

ふみと手を繋いで、ふみには車や自転車を来るの見てもらってる。
「ふみ、ありがとうね。ふみ、大好きだよ」
「大好き?うん、いい言葉だね」
吹き出しました。なんだか六義園から出てきたふみは、殿様気分の感じ。


後ろ向きに歩くのは、膝の裏などが結構疲れてくることが初めてわかった。
だから中国では後ろ向き歩きという健康法もあって、一時流行ってた。


「ふみ、後ろ向きに歩くのは結構疲れるよ」
「前に向いて歩くのも同じ」

ははは、疲れてきたんだふみも。今日もたくさん歩いたからね。



近所の小学生の女の子とそのお父さんと会った。
どこかに行ってきたの?と尋ねられ、六義園と答えたら、
「お、いいところに行ってきたね。今は、菊かな?見頃は」

菊?たしかに菊もあったような気がしますね。でもわたし菊があまり好きではないから、よく見てないや。


ふみ最近眠るのがどんどん遅くなる傾向。今日なんか11時過ぎてしまってた。
勘弁してほしい。
もっと、自分だけの時間がほしい。
わたしの切実な願いです。