すごいばあちゃん

電車の中、三人掛けの優先席で、ガラガラカバンを引っ張ってる、よろよろのおばあちゃんが座ってきた、真ん中の席に。

向かい側の席、若い女性が端っこに座ってる。

「ね、ね、ちょっと」とおばあちゃんは若い女性に声をかけた。

優先席に若い人が座ったから、おばあちゃんが説教しようとするのかな。
でも優先席って、別にご老人だけ座れるんじゃないし、その女性、もしかして見た目じゃわからない調子の悪いところがあるかもしれないし、それに、車内はすいているし、優先席に座っても別にいいと思う。
そう思って、その続きをぼーっと眺めるわたし。


若い女性は、視線をおばあちゃんに投げ出すが、返事も反応もなかった。

「あのね、あんた、真ん中に座りな、ね?真ん中。わかる?あのね、端っこに座るのは、刑務所の人間なの。女子刑務所、わかる?あの中にいるとね、どうも端っこにいるくせがつくのよ。そうしたら、出所の時、まず言われるのよ、社会に出たら、端っこばかりいるじゃない、どうどうと真ん中にいなさいと…」


若い女性は表情を変えずに、目を閉じた。

次の駅、おばあちゃんは、痛いタイタイといいながら、ガラガラを引っ張って、なんとか電車を降りた、うしろ姿を見て、うん、前科ありそうな感じだわ、おばあちゃん。




夕飯後、ふみとパパは自転車で出かけた。
この色のちょっと変わってるシクラメンを買って帰ってきた。

初冬の今、お花がうちにあるのは、いいね。