今日も、ふみと6時に目覚めた。東京時間は7時だけど。

レストランで朝食、ふみは、やっぱり揚げぱんを食べない、北京の朝食の定番名物なのにね。

わたしは今日は、とうもろこしを砕いたお粥を懐かしく頂いた。

豆乳も。
豆乳は、やっぱり焦げたにおいで、最初は失敗したかと思ったが、どうも製法のせいみたい。
豆乳は北の人間の朝ご飯に必ず出る飲み物で、各お店の自家製で、お店によって味が違ったりする。
この焦げっぽいにおいのする豆乳は、飲み慣れたら、くせになる。


しかし北京は乾燥するな〜、静電気が凄くて、ふみもわたしもお肌がガサガサで。


中国国家国際ラジオ局モンゴル語放送部が姉にインタビューした、父親の記念会のことで。

内モンゴル日報も今回のことを一面の特集にするという。


午前、わたしたち三人で、日本人の学者たちと、父親の×大国学院への贈書を見に行った。


いくつのガラスドア付きの本棚に、父親の本が陳列されている。



父親の写真も飾ってある。それはドイツを訪問する時の写真だわ。


先生方と別れて、父親の教え子のW先生とご主人が来て、昼食をご馳走すると。

W先生はロシアの飴をふみにプレゼントした。W先生も今、よく各国を訪問したりするので、日本語もぺらぺら。


ご馳走はモンゴル料理店。
とっても懐かしい食べ物がたくさん出てきて、

特にモンゴルのミルクティー、や〜懐かしい懐かしい。これを飲むのは何年ぶりだろう、一杯二杯、三杯…、

いくら飲んでもあきない、昔は毎日飲んでたものね。


ふみは羊肉の小籠包を、黙々と食べ、あっという間、一皿ほぼ全部食べた。


「これで寒さに強くなるわ、豚肉なんかと違って、羊は体を温めるから」とみんな口揃えていう。


ふみは昨日に引き続き、またスイカをたくさん食べた。


食後、三人で北京のラマ教のお寺壅和宮にお参りに行った。
北京にくると必ずここにお参りにする。姉もわたしも母も。


いろんな仏様に、五体投地の礼をした。

ふみもわたしのそばで真似をしてた。


中庭で、ふみは通り掛かった一人のラマと記念写真も撮った。







ふみ、ほんとに中国語を習うべきだと痛感した。
これからふみに中国語で喋りかけるしかない。そうする。


夕食は従兄のご馳走ということになってる。

長年北京で暮らす従兄は、地位的に結構上のほうにいるのだということを、つい最近知ったわたし。
それまでは学問の研究をやってるとは知ってたが。


でもどんな地位でも、従兄は、いつまでもわたしを小さい時から可愛がってくれてる従兄なんだ。


従兄はまた引越した。新しいマンションの住所を教えてもらって、
わたしたちはタクシーを拾った。


運転手さんに従兄の住所を言ったら、運転手さんは黙った。

もしかして知らないのかな。もう一回言ったら、
「北京の人ならそこを知らない人はいないよ、あれは大金持や有名人しか住めない場所なんだ、誰?あんなたちの親戚?うわ、すごい親戚いるね」


「あ?うちの親戚はそういうところに住んでるの?」と姉は思わず聞いた。

「あの辺に着いたら、車のメーカーを見てごらんよ、普通の車は一台だってないはず」
北京の運転手さんは、とにかくお喋り。
「親戚かぁ〜すごいね、まあでも、いくら親戚でも、親戚の金あなたと関係ないことだしね」、運転手さんの口は、やはりとまらない。


従兄のおうち、すごい、広くて、窓からの眺めは、北京の真ん中あたりの風景、夕日に照らされてる北京の街、スケールがやはり違う。



夕飯は従兄のマンションの下での香港飲茶。
ふみ、海老蒸し餃子をたくさん食べ、わたしにはパパイヤと牛乳ゼリーがおいしかった。

お店の全てのお料理は化学調味料を不使用だという。


ふみは従兄がアメリカから持ってきたベンツの車模型をもらい、大喜び。


帰りは従兄が車で送ってくれた。

従兄の車は国家からの配給で、義姉のは自分買ったもの。


従兄の車は地下の駐車場に止めてなくて、出る時、警備の人が来て臨時駐車費を徴収する。
「内装終ったんですか」と警備のおじさんが従兄に。
「あと少し残ってる」
「引越しは疲れるわ、だからこんな話しがあるね、一ヶ月ほど忙しいのはマンションの引越し、一年ほど忙しいのは一軒家を立てる、…」警備のおじさんはわたしの顔を覗いてから、急に口を閉じた、明かにまだ話があるようだけど。

この時、駐車場の車にものを置きに行ってきた義姉が走って来て車に乗り込んだ、警備のおじさんはそれを見て、なんだかほっとしたようで、
「この話はまだ一行あるよ、一生忙しいのは、愛人を作ることだ、あははは、さっきちょっと誤解して言えなかった、あははは」


北京の人、言葉遊びが大好きなんだ。


帰りの車の中、ふみは運転する従兄の隣に座る義姉の膝に座って、運転気分で喜んでた。


車の窓から夜の北京の街を眺めて、
なんだか時間と空間が朦朧として、今はいつ、どこなんだろ。


ふと、夜空に綺麗な三日月が、静かに輝いてるのが目に入った。

月はいつまでも、この娑婆世界を、醒めている目で静観しているのでしょう。


明日は、東京に戻ります。