うろこ雲


夕方、ふみをお迎えに保育園から出てきた時、西の空にこの雲たちを見かけて、思わず携帯で写真を撮るわたし。
すると後ろから拍手が聞こえて、振り向いたら、隣りのビルの警備員さんでした。
いつも挨拶を交わす警備員さんです。

「なんで拍手したの?」とふみは警備員さんに聞いた。
「きれいな雲だから。よく気付いたなと思って」と警備員さんが。
「あれは、いわし雲というのですね?」とわたしは聞くと、
「ウロコ雲というんじゃないかな」と警備員さんが。


うろこ雲ですか。
この雲が出ると、雨が降る、とのことも教わった。
なるほどね、天気予報によると、明日は半月ぶりに雨だと。
自然って、不思議ですね。




ふみは土曜日に始まる柔道のことを、結構気にしているようです。

さりげなく柔道の話題を出したりして、音楽教室の時はあまりなかった様子でした。


ふみは、いわゆるヒーロー物語のように“戦い”が大好きなんだ、けど、まだ幼い分、“戦い”に恐怖感も大いにある。
パパとの戦いは大好き、パパは痛くしないし、必ず負けてくれるけど、友達とはそうは行かないから。

日曜日の朝に放送するシンケンジャーの番組はとっても観たがるけど、爆発音とともに火が燃えるシーンや、リアルに怖いキャラクターなどは、まだ怖くて観てられないんだ。


「ママ、柔道ケガしたりしない?ずっと戦うの?でんぐり返しする?…しないよね、ふみまだ小さいよね、小さい子はただ遊ぶだけよね?…ママ、ふみはすぐ泣いたりしないよ、あ゛帰りたいと言わないから…」
ふみはこうやって、まず自分と戦ってるみたいね。


ふみは柔道が好きになれると思う。
そう確信してるわたし。


でも小学生になったら、やっぱり剣道をやらせたいわ。
なんか格好よくて、紳士的で、それになにより柔道よりケガが少ないとのイメージがありまして。
テレビで見る柔道選手たち、耳がつぶされたり、あっちこちケガして、なんとも痛々しい。


ふみの憧れのSちゃんが同じ柔道教室でやってることは、ふみにとって退けない原因の一つになってるに違いない。


保育園で、この頃Sちゃんとなかなか遊べないふみです。

「ふみ、最近Sちゃんと遊んでる話はあまり聞かないね」と言ったら、
ふみはしばらく黙ってから、こう教えてくれた。
ふみの大の仲良しのH君が、Sちゃんと仲良くなって、
H君はふみに向かって、「もう仲間に入れてあげないから」と言ったそうです。

ふみはそう言われて以来、もうH君とSちゃんと遊ばないことにした、だって。



ありゃま、子供なりにいろいろと複雑やな。

それでふみは帰ってきて、こっちから見て、訳もなく機嫌悪くなってたりするんだ。
その時その時言えばいいのに、こんなつらいことがあったよって、そうしたらもっと配慮してあげられたのに。

まあ、子供は子供なりのプライドもあるしね。わかりますわかります。


今はそれをだいぶ乗り越えたから、話せたのかもね。
最近はふみはМちゃんと遊ぶことが多い。

Мちゃんは、ふみと同じく月齢の低いほうの女の子。

昼寝の時、寒くなったら、よくふみの布団に潜り込むけど、ふみそれが嫌で、一回強く押し出して、Мちゃん号泣させるという、ちょっとした事件もあったのです。

ふみは自分が低月齢のくせに、自分より上の子と遊びたがる。ほかの子もその傾向あるけどね。

けど最近はМちゃんと急に仲良くして、ずっと一緒に遊ぶようになって、この前お迎えに行った時だって、Мちゃんと隅っこでしゃがんで「上に参ります」と、ずっとエレベーターごっこをやってた。

いつの間にか、それまで相手にしなかった小ちゃいМちゃんと急接近したのかなと不思議に思ったら、
なるほど大好きなH君とSちゃんにフラれたからなんだ。

「ふみ、Мちゃんといつもどんな遊びしてるの?」
「…。ままごと」とふみは小さい声で答えた。

ありゃま〜。遊び内容も小ちゃい女の子のМちゃんに合わせたりして、よほどH君とSちゃんに仕返ししたいのね。


あ〜、ふみなりに努力はしてるんだね、えらいわ。落ち込んでばかりでいるよりはずっとえらいと思うわ。


「でもふみ、H君もSちゃんも、ふみより半年も早い誕生日だから、ふみを嫌いになったんじゃなくて、同じ誕生日のお友達と遊びたいだけだからと思うよ」

「でもふみもこんな大きいよ」と言って、ふみはベッドの上にまっすぐ立って身長をアピールする。

確かに、ふみは低月齢だけど、身長も体重も負けてません。


「でもやっぱり誕生日は半年も違うからしょうがないよ」

保育園では毎月誕生会を開くのです。
玄関ではその月生まれの子供の写真も貼ってあります。


隅っこでままごとをやってるふみとМちゃんが、お互い鼻を垂らしっぱなしで、なんもないことでバカバカしいほど爆笑してるのを見てると、こっちまで楽しくなってくる。
お二人、お似合いお似合い。
無理しないで、身丈に合ってることは一番だね。


来週は保育園の「大きくなった会」があるんだ。

昨日は総練習でした。

ふみがその発表会でどんなことをするのが、いまいちわからない。
ふみの話は断片的で、男の子はこういう時ダメねっていつも思う。

女の子なら、誰誰がなにをするとか、詳しく話してくれるんじゃないかな。

どうもみんなは、いろんなかわいい動物を演じるみたいだけど、
ふみはなぜか“お寿司屋さん”だそうです。


???なんで?

「だってお寿司屋さんだもん、本当に」
セリフは?と聞くと、
「いらっしゃい、いらっしゃい、ゴールド寿司屋です。はい、お待ち」だそうです。


う…ん、これを聞くと確かにお寿司屋さんでしょうね。

でもかわいい動物たちがお寿司を食べに来るの?なんか怪しいな。

まあ、発表会当日のお楽しみにしておこう。どうもよくわかないや。


音楽教室にも発表会があります、それは3月に、大きいホールに行われるのです。
ふみたちは歌を2曲披露することになります。
簡単な振り付けがあって、指にカスタネットを付けて。


ふみは、「あ〜、品のないシンケンジャーの歌でもやればいいのにな」とニヤニヤしてわたしに言った。

“品のないシンケンジャーの歌”?!あははは、あたくしがいつか言ってた言葉だわ。

これはこれは失敬。

♪チャンチャンバランってふみあまりうるさく歌う時言ってしまった言葉だ。

ふみ殿はよく覚えていらっしゃるですこと。執念深い。

シンケンジャーの歌は正直なかなか格好いい歌だと思ってますよ、本当に。ただふみ♪チャンチャンバランってあまり歌うから。


ふみはわたしのアルバムを見るの好きみたい。
時々取り出して静かに1ページ1ページをめくるのです。

この前、来日したばかりのわたしが、小さい女の子と一緒に撮った一枚を指さして、
「ママ、昔この子を飼ってたの?」と聞いてきた。
吹き出してしまった。
飼ってたって。失礼な。
もしかして、ふみも飼われてると思ってるのかしら。
言っとくけどね、“飼う”より遥かにたいへんだよ、子供を育てるのは。
飼う程度ならこんな苦労しないわよ、ふみよ。



今日はダンススクールの日。
今日はジルバのステップをさらに教わった。360°のターンも、しかも連続で、さすがちょっとめまいがしてきたわ。(ToT)/~~~
「本番はもっとテンポが早いですけどね」と先生が。

わたしの新しいダンスシューズは、床と摩擦して、ギギギギと鳴っています。