説教と努力

ダンス、今日でジルバのスタンダードのステップが終了。

えぇぇ〜大丈夫かなわたし。全部覚えられるかしら。

今日のステップ、映画《Shall We Dance》の中の竹中直人が柱を支えにしてしてた動きそのもの、映画を見る時、バカバカしくて笑いが止まらなかったけどね。
普段はない、体を180℃連続ねじりのような動き、なかなかたいへんなものです。

家でわたしも壁を支えて練習しないとね。笑ってはいけませんよ。

ダンスが終わって、短い時間だけど、へとへとになった。
茶店に入って、サンドイッチと紅茶を頼んで空いてる席に腰を下ろす。

昼時間なので、混んでいる。
左にいるサラリーマンは眠っている、目の前のコーヒーは満杯、ただ仮眠の場所が欲しかっただけなのでしょう。

右は韓国語を喋る男女、というか喋るのは、ほとんど女性のほう。
目が丸くなり、やや興奮状態で怒ってるように見える。
「…ヨ?、ン?」、そう言って視線をわたしに投げてくる、なんだかわたしに意見を求めているよう(“ね?思わない?”の感じ)で、思わず彼女に向かって頷いた、
彼女はわたしの頷きを合図に、男に向かって軽くテーブルを叩いた、さらに何かを緊迫そうに言った(ほら見てみなさいよ、世間そう思うわよ、常識常識!)、うん、そう言ってるに違いない。
女性は男性の反応を待つように黙って腕を組んだ、男性はひたすらコーヒーカップを凝視する。
間もなく女性また怒りだした、起伏の大きい呼吸、口は止まらない。

(早く謝ったほうがいいよ、それで済むんだから、まじめに考えることないスミダー)と男性に念をかけるわたし。


それにしても同じおじいちゃんが目の前を数回往復してますね、
目的地は、お手洗い。

かなりご高齢のようなので、動きがゆっくりで辛そうで、
おじいちゃん、おトイレに近い御席にお座りになったほうがよろしいのでは、とわたしは声を出さずに伺って見ると、
や〜、これもワシのトレーニングじゃ。そう答えを顔に書いて、おじいちゃんまた立ち上がって、向かうさきは、もちろんお手洗い。
がんばって下さい!



昨日、髪がだいぶ伸びたなと気づき、特に前髪、うっとうしくて、夕方、駅にある美容室へ行った。
そこで美容師の青年に思わぬ説教されたのである。

髪を切って、シャンプーして、乾かす時、青年美容師は指先でわたしの髪を梳かすようにするが、何回も、毛先の絡みすぎの髪にひっかかる。

「あの」青年美容師の手が止まった。「普段、まめにトリートメントしていますか?」
「えっ?あ、トリートメントというか、シャンプーのあと、リンスみたいなの一応使ってますけど」
「そうですか。」青年の口調は厳しい。
(なに怒ってるのでしょう。わたし、確かにあなたは今日で初めてですよね、面識ないよね?)


「毛先が傷んでます、あまり手入れしていないように見えますけど」
「あ〜それは言えるかもしれないんです。わたし、くせ毛なので、諦めてるというか。そりゃ努力した時だってありましたよ、トリートメントをまめに使うとか、でも効果そんなに出なかったんですよ」
「洗い流さないタイプのトリートメントとか、お試しになりましたか?いろいろ研究して、きっと自分の髪に合うものや方法があるはずです。くせ毛とおっしゃいましたけど、ぼくの知ってる限り、ストレートヘアの方、こういう髪を、みんな羨ましがります。ストレートより動きがあって、いろいろアレンジできますからと」

「そ…うですか、そういう見方もありますか」

「お風呂上がりの時は髪をどうしてますか?」、青年の追究は緩まない。
「あ、あの、ドライヤーは、あることはありますけど、めったに使わないですね、タオルを巻いたまま、自然乾燥というか、そのまま眠ってしまうことも…」
「すると翌朝、髪どうなります?」
「こう」と、わたしは火山噴火する仕草を作ってみせた。
青年美容師は少しも笑ってくれない。
「それは髪が傷んでる証拠です。そういう時どうしてます?」
「え?あ、縛ります。後ろ、シュシュで、こう」、そういうことじゃないですよね。
青年はわたしの話をまったく無視する、「濡れたままの髪は一番脆くて痛みやすくて、ドライヤーでやさしく乾かしてあげないと…」

わたし、説教されてるよね?

続けて青年はドライヤーで乾かす時の手つきやコツを説明してくれた。

「結構難しいですね、わたしにはできるかしら」
「ぼくだって、最初からできるんじゃないんです、学校に入る前はなんにもできないです。いっぱい練習して、いっぱい研究してやっと少しわかるようになりました。だから、努力して下さい」
「…はい。」

美容師って、“そうですよね、それは難しいですよね”のように、お客さんの話に合わせる人が多い。
この青年美容師の説教に、わたしは髪の手入れをもっと真面目にしようと思った。

今年のテーマは、
“努力”にしようかな、いろんな意味で。はい。