ちっちゃい芽が

ベランダに置いてる小さい植木鉢のアジサイ、一冬、何本かの短い枝だけしか残ってないが、お水をやったりしてました。

この何日間、ふと、アジサイの枯れたに見える枝に、ちっちゃい緑の芽が芽生えて来たの気付いた。
いくら寒くても、春は確実にやって来たって証拠ね。


「ふみ、見て見て、あじさい、ちいさい葉っぱが出て来たよ」
「どこどこ」と、ふみは網戸の前にしゃがんで、「ほんとうだ!」、ふみも一緒に喜んでくれた。


登園道で、ふみを説得して、結構急な坂道を下り、小さい公園に着き、その公園の入り口にも、アジサイがあるの。うちのより、はるかに大きいけど。


「まだ枯れてるよ」と、ふみは、ちょっとがっかり。
よく見てみたら、ちっちゃい、ほんのちっちゃい芽が出て来てる!
「ママはアジサイが一番好きだよね」

うん。アジサイが好き。花の形も好きだけど、何よりその淡い紫の色。
雨に似あうアジサイ
アジサイに会えるから、雨が楽しくなってくる。

あじさい、淡い香りでもあれば、なおいいのにね。


公園から保育園に行くには、階段を登って、さらに緩やかな坂を登る。

ふみはいやがる。

ふみをおんぶする。


18キロ近くのふみをおんぶして、細長い階段を登って、緩やかな階段を登りきった時、さすが、はーはー言い始めた。
「ママが好き」
「え?おんぶしてあげるから?」
「ふふふふ」


保育園が見えてきて、ふみは降りた。

ふみをおろした途端、ふぅー、なんて軽いこと、飛び跳ねたいほど。


玄関で、ふみは後に入ってきたU君と会話を交わす。
「よっ、U」
「おっ、ふみ」
ふたりは呼び捨てしてる。
「昨日、砂で生クリームを作ったよな」とふみが、
「なぁ」とU君は乗ってくる。

「水でなぁ」
「なぁ、Tもいっしょにやったなぁ」
「なぁ、俺たち、ほかのはしてねぇしな」
「なぁ」
ふたり嬉しそうに語り合ってるのを見ていると、
まるで同窓会で、昔話を花を咲かせるおじいちゃんのようだ。

へぇ〜、こういう喋り方、かっこいいと思ってるのか。


明日は、保育園の卒園式。
年長さんのお兄さんお姉さんたちは、もうすぐ、ピカピカの一年生になるんだ。

ふみたちも式にでる予定。
しかもふみは先頭になってるらしい。
卒園生の担任の先生に、4歳児の代表として、ふみがプレゼントを渡すことに。
プレゼントは、ふみたちが作った写真立てだそうです。
「すみれ組が作った写真立てです。どうぞ飾ってください」というセリフをいいながら。


長袖のYシャツと白い毛糸のベストを用意して、明日ふみに着せるんだ。


ふみ、男の子らしく、堂々といけや