ポーズ

今日は朝から暖かく、早春ではなく、陽春の感じです。


気持ちも体もらくになるわ。


朝ごはんの時、ふみは、卒園生のお兄ちゃんたちはみんなネクタイをしてたと言い、
「ママ、ふみがその時も、ネクタイの服を買ってね」
ふみは、前々からネクタイにとても憧れがある。


「ふみ、卒業生のママたちは泣いた?」とわたしは聞くと、
「うん、泣いてた。女の子は泣くもんだから。」とふみは言う。
ほっほっほ、ママたちは“女の子”と言われてると、嬉しいのかな、うん、たぶん。



ぽかぽかの陽ざしの中で、ふみとベランダのお花やお野菜の手入れをした。

アジサイの芽は、もう少し伸びたわ。


水を、少しずつ、ゆっくりと植木鉢にかける時のふみの顔は、優しさが溢れてる。
いい顔してるね、ふみもこんな静かな穏やかな時あるんだなって、そばで見ていて、ほっとしてるわたし。



せっかくのいいお天気なんだから、早く出かけないと、もったいない。
軽装で、ふみと柔らかい陽ざしに包まれながら、坂道を下ったり登ったりして、駅の土手に向う。


途中、駐車場で紙飛行機で遊んでるSちゃんとそのお父さんに会った。
Sちゃんはすぐ走って来て、あっという間にふみと一緒に走り回り始めた。
暑い暑いと、ふみはベストを脱ぎ、Sちゃんもパーカーを脱いだ。

「暑いね、ほら、Sちゃんはこうするよ」とSちゃんはズボンのスソを捲る。
ふみもすぐそう真似するが、ジーンズなので、なかなかうまく捲れない。

ふたりはまた走り回りだした。春の風のように。



Sちゃんのパパはお仕事があるので、二人やっとバイバイした。


南風が出てきて、どんどん強くなってきて、ふみを説得してベストを着せる。


土手の風、もっとすごい、つよくなる時は飛ばされるんじゃないかという勢いだった。

なのに男性一人が、長い椅子の上に座り、新聞を読んでる。
ふみと不思議がってた。よく新聞が飛ばされないねと。


音楽教室の時間だ。
今日も主に歌の発表会の練習。もうあと一週間だから。


今日のふみは、大きい声を出して歌えた。今までは、カスタネットに集中すると、声がどうしても小さくなるくせがあった。


親たちに向かって歌う時、ふみ、足を開いて、両手をズボンのポケットに入れて、ちょい悪のお兄さんのようにカッコつけて、ずっとそのままで歌ってた。
ちょっとびっくり、いつの間に、こんなポーズを覚えたのかしらね。


教室から出てそのポーズのことを聞いたら、
「だってさぁ、そのほうがカッコいいと思ったからさ」

へぇ〜それがかっこいいと映るんだふみの目には。


足を開いてズボンのポケットに手を入れて、大人に向かって歌うふみと、
植物に水をやる時の優しい顔のふみ、
どっちもふみで、おもしろい。



なんでも屋さんに行って、ジョウロ・スコップ・バケツ・植物栄養剤を買った。

ふみはバケツをずっと持ってくれた。

晴れてるけど、春の霞というか、靄がかかってた。



夕方、ふみに頼んで、栄養剤をそれぞれの植木鉢に差し込んでもらった。
やりながら、「大きくなって下さいね、いっぱいお花咲いてね」と、ふみはやさしく植物に話しかけてる。
そばで感心するわたし。

「ふみ、じょうろは夜お風呂でパパと遊んでいいよ。でもベランダで使ったら、もうお風呂で遊べないよ。最初で最後だからね」
「わかった。今日遊ばないと、もう、…、もう損しちゃう?」
「はははは、損しちゃう損しちゃう」、損しちゃうって、笑えた。


夕飯の時、「やっぱり心配だな」とふみは言う。
「なにを?」
「ほんとうに大きくなってくれるかな、やっぱり心配だな」と、ふみはお花やお野菜の心配をしているようだ。




また違う方から手作りマーマレードを頂いた。今度のは文旦で作ったそうです。

前に頂いた夏みかんマーマレードと同じく、ほんわかとした苦みがあって、とってもおいしい。

淡路島の方から、新鮮な八朔を頂いてるので、八朔の皮でマーマレードを作ってみたいと思っています。
やはり自分が作ったものはいいな。防腐剤も色素も香料もない分、体にやさしい、安心して食べられるわ。