刺繍のかばん
この一週間は春先に逆戻りのように、ひんやりしてました。上着一枚羽織らないと寒いぐらいです。
一日中加湿器を付けても、湿度は冬のように低い。
内陸部また雪が降ったそうです。
確かに京劇の演目ですけど、《窦蛾冤》というのがあって、窦蛾という女性の身に尋常じゃない冤罪があって、天も同情してくれて、6月に大雪を降らせたのです。
そのせいか、暖かくなってからの雪を、どうしても(冤罪があったのかな)と思ってしまうわたしです。
しかしその“天”(神)は、大雪を降らせるより、もっと違う形で力を貸してやればいいのにね。
今日はパパは名古屋へ日帰り出張。
今朝パパが出かけてから、ふみは、
ふみがおりこうにしたらパパ今日帰ってくる?と何回も聞く。
そうよ、おりこうにしないとパパは明日に帰るかもしれないと答えてあげる。
ふみのふくらはぎに湿疹が出来て、乾燥によるものだと思うんだけど、2月にとびひになったこともあるから、念のため、午前、皮膚科に連れて行くことにした。
ふみ、待ち合いロビーでも、診察室でも、一刻もじーっとしない。椅子の背もたれから登り、頭から座るところに着地、などなど、言っても聞かない。「ふみ、おりこうにしないとパパに言うよ、そうしたら今日帰って来ないから」と言ったら、少し静かになって、「ママ、目をつぶって、お願いだから目をつぶって」と言って、
見てみたら、柵のような棒に登ろうとしてる。
「ふみ!走らない、騒がないと書いてるんじゃないか、どうしてそれをわからないの!?ふみはもう4歳でしょう」とわたしは壁の貼紙を指さして言う。
怒られたとわかって、いつものようにわたしの機嫌を取ろうとして、ふみは笑顔を作って、
「ママ、ママは伸びたね」。
この歳になったら伸びる人いるか!苦笑してしまう。
ふみには一番嬉しい言葉かもしれないけど、ママはもう伸びたか伸びないか、どうでもいいもん。
幸い、とびひなんかではなく、やはり乾燥による湿疹だった。
保湿剤と湿疹の軟膏をもらった。
今日は新学期の音楽教室。新しいお友達が何人も入って、男の子ばかり。
前学期一緒だったHちゃんがよって来て、挨拶した。
保育園と違って、あまり接触がないのも関わらず、Hちゃんは、ちゃんとふみの名前を覚えてる。
Hちゃんが持ってるかばんは、かわいらしいウサギちゃんとHちゃんのお名前の刺繍が入ってた。
わたしがそのかばんに興味津々だと見て、Hちゃんは、かばんを持ち上げて見せてくれた。
中身が出てきて、散らかって、Hちゃん慌ててそれを拾う。
「ふみ、拾ってあげてよ」とのわたしの言葉に、ふみはしぶしぶと手伝う。
「逆に持つからこぼすんじゃないか」とふみがHちゃんに言う。
そんなことを言っちゃダメよと言おうとしたが、Hちゃんを見てみると、怒るどころか、なんだか嬉しそうに見えた。
「ふみ君!なんでここいんの!」との男の子の叫び声で振り向いたら、なんと、保育園の同じ組のH君、「H!」とふみは同じく歓声をあげる。
そして、「俺は…」「…じゃねえよ」「だよなー」「こいつ」など、わたしの知らないふみが、そこで楽しそうにしゃべってる。
かわいい刺繍かばんを持ってるHちゃんは、わたしと一緒に口をぽかっと開いてふみたちを見る。
音楽教室、H君も来るため、これからふみは積極的になるんでしょうね。
カーネーション、まだまだ元気。