サッカー

今朝、8:30にうちから出て、ふみと大通りに沿って、駅のところの大學病院の裏の小学校に向かいました。サッカー教室に参加するために。

日曜の朝、街は静かなんだ。「みんなはまだ眠ってるの?」とふみはジャンプしたり、ケンケンしたり、わたしの手を繋いで進行。
そうだよ、みんなまだ眠ってる、お休みの日だもん。ママだって、できれば思う存分に眠りたいな、たとえ一日だけでも。


そこの小学校の校庭は、一面芝生で、うわ〜と、それを見たふみは、誰とも相談せず、素早くスニーカーと靴下を脱ぎ、裸足になって走りまわる。

「え?! 裸足になるの?いやだ!」とそばにいる子が言う。
「気持ちいいよ」とそのお母さんが説得する。
「足が痛くなるもん」とその子は泣きそう。
「わかったわかった、あとでなりたい時に裸足になろうね」とそのお母さんは諦める。



ふみがもっと小さい時に、新宿御苑の広い芝生が苦手で、裸足にさせたら、座っても立っても嫌がって、最後泣きだしてしまうことがあった。

いつの間にか、意味なく靴下まで脱ぐのが癖になったふみ。お店にご飯を食べに行く時も、坐った途端、靴下を脱ぐ。それは失礼だからと、やっとこの頃やらなくなってるけど。




ふみは本当に体を動かすの大好きなんだね。暑いであろうが寒いであろうが、とにかく動きたいんだね。


その小学校の体育の先生が、ふみたち幼児にサッカーを教える。

まずボールを慣れるために、子供たちに印を付けた輪の中にいてもらい、参加したい親はその輪の外からボールを中へ向かって蹴る。子供はボールをよける。避けきれなくて当たったなら、輪の外に出る、という遊びをする。


ふみは芝生からわたしに向かって猛スピードで走って来て、
「ママ、見てないで、一緒にやってよ」
「えっ?だって…」
「はやくぅー、始まるよ!」

日傘を置いて、慌ててローヒールの黒い靴と白い靴下を脱いで、わたしはふみに引っ張られ、芝生に上がった。


芝生に上がった保護者は、みんなジーンズやTシャツ姿。長いスカートを履いてるのはわたしだけ。だから、ママは見学だけでいいってば。


足の裏はひんやりとした芝生。爽やかな風に吹かれ、いつか、こうやって思い切り走ったことはあるな〜 遠い昔だけど。

ふみはひたすら走ってボールをよける、あれ?当たったよ、さっき当たったのに、けどふみはかまやしない、走る走る。

「ふみ、当たったから外にでるのよ」とのわたしの声にも、ふみは知らんぷり。

二回もボールに当たっても、それを無視して、ふみはずっと楽しそうに走りまわる。


今度は、ランニングシャツのようなユニフォームを、ズボンに入れ、尻尾を作って、それからその尻尾を人に取られないように守りながら、人の尻尾を取る。
たくさん取った人の勝ちという遊びが始まる。

ふみと手を繋いで逃げる時、一組の親子は近付いて、ふみの尻尾を取ろうとする。
それを避けようと必死に走るが、ふみは転んだ。倒れたところでその子は来てふみの尻尾を取って、「イエー」と走り去った。


起き上がったふみはわたしに抱きついて、泣いた。


号泣に近い泣きかただった。泣きながら、「ママ抱っこ」と手を上げる。


ふみを抱きあげた。ふみは顔をわたしの肩に埋めてわんわん泣く。


ふみを抱いてカバンを置いた場所まで移動する。
座り込んで、ティッシュをだしてふみの鼻をかんで、タオルで涙を拭いてやる。

ふみは、しばらく泣いてた。
やがて号泣がしくしく状態になり、「ふみ、怖かった?」と尋ねてみた。
「こ、こ、こわくない」
「じゃあ、悔しかった?」
「うん。く、くやしかったの」ふみは麦茶を飲む。


二回目の尻尾取り合いが始まった。
日傘をさして坐ってるわたしの元から、ふみは“戦場”に向かって走りだした。
そして尻尾を一本、二本を取った。転んで、倒れて、また起き上がって、手に持ってる二本の尻尾を高く挙げてわたしに見せ、笑った。



さあー、これからはサッカーの試合が始まる。

ふみは黄色いチームの11番、ユニフォームはやたらと大きい。



守るほうに分配されたはずのふみは、いつの間にか、ボールを追って最前線で走ってる!


走る

走る走る

転んで起き上がってまた走るふみは、逞しく見えて、胸いっぱいになった。



相手の緑チームが、ボールをゴールに入れた。


相手チーム、自分のゴール、などという意味を、ふみはあまりわかってないようだ。全然悔しがるもなく焦るもなく、あの様子を見ていると、チャンスさえあれば、自分のゴールに入れてしまう勢いが大いにあるわ。


試合終了、お互い握手して、先生とさよならをする。



子供たちを自転車に載せて帰る親たちとバイバイしながら、ふみと二人で徒歩で帰り道に。


足の裏、真っ黒。わたしもふみも。

いっぱい走ったから、ふみお昼寝をした。



菖蒲の季節だから。