雨の京都
夕べ、パパと折り紙をしたりして、寝るのがだいぶ遅かったふみは、今朝、いつも通り6時に目覚めました。
ホテルの朝食はバイキング。寄せ豆腐や煮物など、いかにも京都らしい食べ物がずらり。
わたしはパンとコーヒーだけにしました。
やっぱり朝は塩気の入ってるものは、どうも慣れないや。
雨は昼からとの今朝の最新予報を聞いて、早めに出かけることにしました。
8時半、三人はもう、清水寺へ向かう七年坂をぶらぶら。
修学旅行生たちが、ぞろぞろと清水寺へ向かう。
山門の石段でお行儀よく集合写真を撮ってました。
カメラマンさんの叫んでるような指示する声、完全に枯れてます。
降りてきて振り向くと、
清水寺は、白いシャツと紺色のスカートやズボンの制服姿で埋められてました。
ひそかに気になってることだけど、
修学旅行生たちの制服は、修学旅行中、あれは洗ったりしてますかしら。
それとも二、三着持ってるとか。
このじめじめの中、学生諸君の身嗜み、どうしても気になって…
帰り道は、夢二と彦乃が過ごしてた二年坂から歩いて、
見事に港屋に逢った。
夢二、ここで暮らしてたんですね。
仰げば清水寺とその背景になる山々、辺りを見渡すと風情たっぷりの坂や小路、それで夢二はいっぱいいい作品を描いたのでしょう。
夢二だのなんだのって、ふみには関係なく、昨日と同じく退屈がって、
坂の途中でサイダーをおねだりして、
長椅子に座ってサイダーを飲んで、とっても嬉しそうだった。
サイダーを飲んで、ふみは修学旅行生がいない隙を見て、
ジャンプしたり、走り回ったり発散してた。
雨がぽつぽつと降って来て、傘をさして、八坂神社まで歩いて行くことにした。
降ったり止んだりしていた雨は、八坂神社に着いた時、急に土砂降りになりました。
わたし、本当に神社の行事によく遇います。
これは何の行事でしょうかと神社の方に尋ねたら、
昔の祇園祭だと教えてくれました。
本来、祇園祭はこの6月15日ですが、明治以後、現在の7月になったという。
知らずに祇園祭とあうなんて、縁起のええことや。
傘をさしてちょっと歩いて、円山公園にある昔の洋館の喫茶店「長楽館」に入りました。
10年ぶりだわ、ここでお紅茶を頂くのは。
「ママは?ママは?」ふみの声だ、ふみとパパがやってきた。
歩いて知恩院に着いた。ここの緑も眩しい。
造形大学の生徒さんたちが作ったねぶたっぽい“天女”
なんか不思議な作品ですね。
洋風天女?
こちらは法然上人だそうです。
昼食を取って、疏水を遡って、さらに南禅寺へ向かう。
もちろん徒歩。
南禅寺、何回も来てました。
ため息つくわ。南禅寺、わたしの好きな場所。
眠いと言い出したふみ、確かに、ややぼーっとし始めてる。
朝早く起きて、いっぱい歩いたからね。
ホテルに戻り、即夢の中。
わたしも5分ぐらいうとうとしました。
その間、パパは傘をさして、行き着けの仏教関係の本屋さんに行った。
夕方、ふみの従姉と一緒に食事。
ふみが、まだ歩けない頃に会ったきりだが、ふみはまるで覚えてるかのように、パパのこの姪っ子にすぐ懐いてました。
「せっかく仲良くなったのに、すぐバイバイして、さびしいよ」ホテルに戻ったふみはこう言って、本当な寂しそうな顔をしてました。