さようなら、京都

京都の旅の最後の一日です。


朝食を食べて、駅からバスに乗って、金閣寺へ向かいます。



バスの中も修学旅行生でぎゅうぎゅう詰め、雨が上がった分、蒸し暑さが一層増して、扇子を軽く煽ぎながら、
「心静自然涼」(心から静かになれば、自ずから涼しくなる)という中国の言葉を思い出す。


金閣寺の境内に入ると、見渡す限りにこの季節ならではの緑・緑・緑。

湿っぽい土と苔の匂い、さっきの暑気を払ってくれて、すっきりした気分です。


目の前に現れた金閣寺、や〜 美しい〜





わたしには、金閣寺は17年ぶりになります。


17年は長いですね、けど、まるで昨日のように、はっきりと思い出せます。時の流れは不思議なものです。


金閣寺のことは脳裏に焼き付いてましたが、金閣寺の裏の池から、とってもひんやりした風が吹いてくるのも覚えていて、
今日、その池に行って、やっぱり同じく、周りから際立った冷気が。

地理的のせいかもしれないが、でも似てるような場所はいっぱいあるんでしょうけど、ここのこのひんやりした空気は、
わたしは17年の間、忘れてませんでした。


ふみは、こういう景色より、しゃがんで、砂利の中の変わった石ころを探してます。


さいころのわたしが、父親に連れられ、北京の故宮に行った時の光景となんて似ているのでしょう。


「ママ、この緑の石を見て」
よりによって“緑の石”!、あの時のわたしの言葉までそっくりだなんて、


「かき氷だ!」ふみは大興奮。


まだ夏になる前に、ふみは「暑くなったらかき氷食べようね」ってずっと言ってたから、
今日は蒸し暑い。
かき氷を売ってる。



やっぱり花より団子のふみです。




京都駅に戻って昼食。
それから東寺へ。

東寺は、清水寺金閣寺ほど観光客はなく、少人数の団体だけで、境内は余計に広々としている。


五重塔の下で、草むらからお花を探して摘むふみです。


苦笑いしかないですね。


「ママ、ちょっといい匂いがするよ」
「本当だね」



「いい匂いがするからママに摘んであげたの」


あらま、嬉しい。


「ママ持ってて」「やっぱり僕が持つ」「ママ帰らない、もっとお花を探す」


もうふみの全ての注意力はお花だけになってしまいました。



東寺を後にして、ホテルに戻って荷物を取りに、
その時、ふみは手に持ってる三輪の小さい野の花をフロントのお姉さんに黙って差し伸べた。


「くれるの?本当に?!ありがとう!」

お姉さんはとても喜んでました。



さようなら、京都。



また、いくらでもきます。