風中の花
お寺で、ある三十三観音お札所めぐりの女性をみかけました。
一目で中国人じゃないかなって思いました。
受付の方がいろいろ説明してるのを聞いて、「わからない」とその女性が言うので、声をかけてみると、
女性はやっぱり中国人でした。
海南島出身だと言って、
わたしが中国語を通じるのを知って、喜んでました。
南方訛りの北京語で、
「私、観音さまが大好きで、よく浅草に行きます。三十三観音あると知って、廻り始めたのです。けど、いろんなお寺に行けば行くほど、気持ちが暗くなってきてます。浅草は、いつも賑やかで、楽しくて、明るいですが、ほかのお寺に行くと、お墓や位牌ばかりで、なんとも言えない寂しい気持ちになります。昨日も友達に言われまして、寂しくなるなんて、じゃ、あなたはなんのために観音さまをお参りしてるんですかって。私、どう答えたらいいかわからない。ね、なんで日本のお寺はお墓ばかりなの?これが普通?浅草寺は特別?…」
なるほどね、そうですね。習慣というか、文化というか、の違いですね。
日本人の仏教徒は、それぞれ自分の先祖やご家族の遺骨が納めるお寺がありまして、菩提寺と言って…
女性に少しでも役に立ったのならいいが。
明日は盂蘭盆です。
青森の万灯会に、父親や祖母、姉の水子のご供養をお願いしました。
もう何年目でしょうか、こうやって盂蘭盆の時期を親族の御供養をお願いするのは。
気持ちがすーっとするものです。
今日、台風で風が強く、雨が降ったりやんだり、お寺で一輪の蓮の花が咲きました。
風に吹かれて、花弁が乱れ、
不運な蓮華ですこと。