仲秋が近付いてる

知人のお通夜に出ることになって。

ふみがまだ小さい時にその知人に何回も会ってたんだけど、ふみはもちろんもう覚えてはいない。


お通夜にふみが履く紺色など一色のソックスがない。汚れにも強いように、ふみのソックスはいつもカラフルなのを買ってるから。


お通夜は日曜日、まだ時間があるから、土曜日の午前、ふみとデパートで紺色のソックスを買ってきた。
36℃の気温でキラキラの陽射し、思わず暑い暑いとつぶやく。
「暑い暑いと言うと、余計に暑くなるよ」とふみが。

少し前のわたしがよく口にする言葉だ。


けど、猛暑がしつこくて、もううんざりになったんだ。体調もどんどんバテてくるし。


気象庁が正式に「異常気象」だと発表。
誰が見ても明らかなことだが、正式に言われると、より一層深刻さが伝わってくる。

22日は、もう仲秋の名月なのね〜


買物から帰ってきて、ちょっと横になって、また暑さの中へ飛び込む、今度はふみのスイミングスクールへ。




こんな一日で、くたびれるはずだわ。


日曜日、ずっと、お通夜のマナーをふみの頭に叩き込む。


ふみは積み木で遊びながら聞いてる、時たま「そうなんだ」と返事をする。

作ったのは、またなんとか2号だそうだ。

今度のは、洗濯鋏たちも参加。




最近のふみは、猛暑であろうが汗であろうが、とにかく動いてる。とにかくじーっとしてくれないから、お通夜のような場面、だいじょうぶかと心配でたまらない。


水色のワイシャツ、紺色の半ズボンにソックス姿のふみは、なんとか終始おとなしくしてくれた。


会食の時、ふみはだいぶ“回復”した。イクラだの、アナゴだの、お寿司をどんどんちょうだいちょうだいとパクパク食べて、その後は、いろんな方に抱っこを求めたり、手を繋いだり、でもさほどふざけてなくて済んだ。


最寄りの駅に降り、夜道をふみと歩く。
「ふみ、今日みたいに落ち着いていれば、みんなにも迷惑にならないし、よかったね、いい子だったね」
「ママ、今日は本物のふみだよ」
「ほんもの?」
「うん。落ち着いてるふみは、本物のふみだよ。ふざけてるふみは、あれはにせものなの」
そうなんだ〜これからは本物のふみに、どんどん登場するように願いたいわ。



Mさん、天国に行っちゃったのかな。それとも、一人残された奥さんのことを心配してこの浮世に未練いっぱいで彷徨っているのかな。


一年ほど前に、毎週木曜日の夕方に、都合で一時間ぐらいMさんと一緒にいた時期があった。
いろいろお喋りをした。Mさんは顔色一つ変えずに冗談を言う。平気な口調で“妄想”を語る。
そんな楽しい自由人のMさんが、近付いた心臓の手術にすごく不安を抱き、
そんなMさんに、一応二回も手術したことがある“先輩”のわたしが、
「Mさん、だいじょうぶですよ、きっとらくになりますから。なんでもっと早くしなかったんでしょうって、後悔するほど、きっとラクになって仕方がないですよ」

「ありがとう。こんなに年が離れてるあなたに励まされて、少しほっとしたというか、安心してきた」、Mさんは珍しく真剣な顔で、このように何回も感謝されてました。


その時のMさんの表情は、今でもはっきりと思いだせます。

ご冥福、お祈りいたします。