おとこどうし

ふみと同じ組のU君も、柔道教室に行ってみることになった。

U君はちょっと喘息気味で、ついこの前それが原因で一週間入院もしてた。
U君のお母さんは、U君の体力を増強するため、柔道教室に通わせることに決めた。

けど、U君のお母さんのお仕事が終わるのは、柔道教室の開始時間に間に合わない。
そこで、わたしがふみをお迎えに行く時に、U君も柔道教室に一緒に連れて行くということに。
U君のお母さんは仕事が終わって柔道教室に着くと、まだ6時前なので、ちょうどいいのです。


ふみはU君と一緒に柔道ができると聞いて、とっても喜んでた。同じ組のお友達が、これからずっと一緒に教室に通うなんて、ふみにはなによりだ。

U君のお母さんも、U君が柔道教室に行くことをとても楽しみにしてるとメールで書いてた。

U君は、まだ相撲と柔道の区別がつかないとU君のお母さんは言う。

なるほど、相撲と柔道か、かわいいねU君は。


今日は、U君の見学の日。
保育園からふみとU君を連れて柔道教室へ。保育園の玄関で、ふたりに、絶対走らない、手を繋いでいくと約束してもらった。

わたしはしっかりとU君の手を握り、U君はふみと手を繋ぎ、歩きながら、二人はどうでもいいことに笑いが止まらない。


わたしはちょっと緊張していた。こんな男の子二人、一気に走り出したらどうしようと。


なんとか無事に道場に辿り着いた。
先生に事情を説明して、ふみを柔道着に着替えさせながら、U君に「U君、先生に話して、柔道着を借りて、みんなと一緒に遊んでみる?」
「ううん、見てるだけでいい」


U君にお茶を渡して、ふたり並んで、ふみたちを見る。

「ふみ君、頑張れ!」U君は大声でふみを応援する。
「なにそれ!」遅く入って来た小学生のK君が言う。「今は遊んでるよ、頑張れって、あ、でもこの子、みたことある」K君も同じ保育園の卒業生なんだ。

「ね、ね、ここの一番強い人、誰だと知ってる?あの警視庁の先生だよ、だって40年ずっと強いよ」
「そう」適当に返事したら、K君、まだまだ話が続く、「でもね、今はあの先生は、だいぶ筋肉が落ちてるよ」
「へ〜、K君に言ったの?」
「ううん、俺が触ってすぐわかったの。聞いたら、そうだって」
「いいから、それより早くお着替えしてよ、怒られるよ」
「あ、やべっ」

なんでも知ってるね、今の小学校一年生というのは。


U君、じーっとふみたちを見ていた。

U君が見ていることで、ふみは今日は頑張った。汗びっしょびっしょ、分厚い柔道着が濡れるほどだった。

遅れてきたU君のお母さんからシュークリームをもらった。
お気遣いなく、と言ったのに。

U君親子とバイバイして、「ふみ、Sちゃん来なくて残念だったね」。Sちゃんはお父さんの仕事関係で、今日は柔道教室来られなかった。

「うん。でもU君との方が楽しい、やっぱり男同士がいいよ」とふみが。
はっはっは。


すっかり秋だね。今年は、長袖のシャツを着る時期、なかったね。半袖から、一気にカーディガンかジャケットになった。