雨の富士

9時から降ってくるとされてる雨が、早いうちにもう降り出した。

ま、8時も9時も変わらないことだけどね、今日は日帰りバス旅行、富士山へ。

雨だけど、でも気持ちにはあまり影響がないわ。
町から出て、自然の中へ行くのなら、それだけでうれしい。


バスは台風じゃない限り、時間通り出発。

ガイドさんは、話しがおもしろく、だけど、押しつけがましさも、わざとらしさもない中年男性です。




雨が降ったりやんだり、激しく降ったり、小雨になったりの中、バスは高速で走ったり、林道に入ったりして、富士山方面へ走る。


霧雨がかかってる山と林、道端に咲いてるコスモス、揺れるススキ、可憐な蕎麦の花、歌を口ずさむ、ふみ。
思い出せる歌を一通り歌って(もちろん小さい声で)、♪じゅうげむじゅうげむ…と始まり、やがて眠ってしまった。


10分ほど眠ったところで、花の都に着いた。
仕方なく無理矢理にふみを起こし、まだ寝ぼけてるふみは、ちょっと機嫌悪くなり、レインコートのボタンをしめるのを拒否したりしたが、
でもバスに降りたら、すぐよくなった。

ふみは、ほんとうにだいぶやりやすくなったな〜


霧雨だけど、これはこれで、風情がありますね。



「カマキリ、いっぱいいるんだろうね」ふみはお花畑を指をさす。

でしょうね。(晴れてなくてよかった)

空気は、かなりひんやり、ちょっと肌寒い、頭をすっきりとさせる。


結構濃い霧の中を、バスは富士山を登ってゆく。


五合目に到着。防寒着を着て外に出る。
6℃だそうですけど、思ったよりは寒くない。
五合目、わたしはこれで四回目なんだ。


まわりが何にも見えないや(`∇´ゞ


これは富士山五合目に来ているのか、平地なのか、判断材料になるものがないなと思ったら、主人は頭が重苦しいと訴える。

後ろを歩いてる御婦人も、「頭はボァーとなってきたわ」と。


ちょっと高山病気味かしら、高原生まれのわたくしには、まだ何にも感じないわ。


ガイドさんに連れられ、お土産売り場で、お祓いを。
おじいさんが鈴が縛っている二本の棒で頭や肩を叩いてくれる、
ふみは嫌がって、後ろへ下がる。

お祓いですから、当然受けてみようと思って、いざやってみたら、形式的な叩きだと思ったおじいさんの棒、なんと力強いこと!肩・背中・お尻、(≧∇≦)
10年分の厄は落とされたわ、こりゃー。
ふみ、小さくなって、大人の間を魚のようにこっち側までうまく泳いできた。棒に叩かれもせず、鈴をもらった。

それでよかった。おじいさんの棒が加減なくふみの身に同じように落ちてきたら、ふみは泣くに違いないわ。


食堂で、パパは温かい蕎麦、わたしはうどん、ふみはラーメンを。


ふみは最近、うどんに引き続き、ラーメンまで食べられるようになった。


食後はお土産屋さんで、ぶらぶら。
だって、こんな天気だもの。
五合目で散策はしたかったけどね。

パパはハガキを書いて出した。富士山の独特な消印を押してくれる。


「楽しいことがいっぱいだね」
バスに戻るふみは言う。
「こう言われると助かるね。じゃないとこんな天気でね〜」と後ろのご婦人たちが。


バスはまた濃霧と小雨の中、ゆっくりと下山する。


今度は葡萄園での食べ放題。

わたしたちが案内された葡萄園では、巨峰の種なし。
わ〜葡萄が大好きなわたしは、よ〜し食べるぞと気合を入れたが、結局は3人で2房しか食べられなかった。


食べ放題って、こんなもんでしょうね。
うちでゆっくり食べるのなら、わたし一人でも2房いけそうな気がする。

新鮮な葡萄、さすがおいしい。


ずっとバスの中動くことができなかったふみは、葡萄園ではしゃぐ。
ビニール屋根は一カ所雨漏れしていて、ふみはその激しく落ちて来る雨の柱を、何回もジャンプして飛び越え、髪は濡れるわ、泥の中に手を着くわ。発散できなかったからね。


ワイン工場の見学もして、ワインと葡萄ジュースの試飲もして、今度は帰路へ。



暮れてきた。
車窓の外どんどん暗くなって、道端のおうちの窓に灯が点る。一軒、二軒、三軒…
冷たい雨が降る日は、この窓あの窓からの明かりに、いつも惹かれるわたし。

見つめているうちに、ホッとすると同時に、なんだかむなしくてならない。

そして、やはり寒い雨か雪の日の、まだ若い父と母、姉がいるわたしのおうちに帰る時の、あの時の気持ちが蘇る。
このくせ、もう直ることがないでしょうね。


車の渋滞で、予定より遅く新宿に到着。

うちに着いてさっそくふみをお風呂に入れ、湯あがり、ふみはすぐ眠った。


晴れた日に、また富士山に行きたいね。でないとふみ、富士山五合目は、小さい小さい村、との認識しかない恐れが!(^^)!