カード

子供のカレーを買ったら、箱の中に女の子に大人気のプリキュアのカードがあった。
ふみに、Sちゃんにあげたらと言ったが、ふみ、通園のリュックにいれたものの、これがなかなかSちゃんに渡すことができない。

なんでだろうね、Sちゃん喜ぶに決まってるのに。

聞くと、「あっ、忘れたよ、明日あげる」と言うが、わざとらしい表情なふみ。


あかげでプリキュアのカードは、ふみのリュックの中で、だんだんぼろぼろになってきて、シールもカードから取れそうになってきた。


ふみをお迎えに行って、玄関へ走って行こうとするふみを捕まえ、リュックからあのカードを取り出して、「ふみ、Sちゃんに渡したら?」

Sちゃんはちょうど一人でテーブルの前でお絵描きをしている。

「えぇぇぇ、ママが渡してよ」
「なんでよ、ふみのお友達でしょう」
「えぇぇぇ、でも、いやだな、う…ん、Nちゃんにあげる」と、ふみはブロックで遊ぶNちゃんの前に走って行って、「うん!」と手に持ってるカードをNちゃんに差し出す。
驚いたNちゃんはただふみを見る。
「うん!」ふみはカードをNちゃんに手に無理やりに入れて、走って部屋から出て、玄関に向かった。


Nちゃんは手にのカードがプリキュアだと分かって、廊下に走って行って、「ふみ君〜ありがとう〜」。ふみは振り向きもせず、廊下に消えた。

Nちゃん、とても嬉しそうな笑顔だった。

Nちゃん、すぐ近くに立っているわたしにやっと気づいて、「ふみ君がくれたのよ、これ」

よかったね、Nちゃん。

この“ふみ君が好きになっちゃった”のNちゃんは、小学校に上がる時は、いろんな都合で、親の実家の近くの小学校に入れると、この前Nちゃんのママが言ってた。
ここからちょっと離れたところなの。もうふみと会えないのでしょう。


童謡の「さっちゃん」の歌詞をNちゃんに入れ替え、帰り道に歌って、ふみは黙って聞いてた。

「♪Nちゃんはね、遠くへ行っちゃうって本当かな、だけどちっちゃいから僕のこと忘れてしまうだろう、寂しいね、Nちゃん〜」


台風が近づいてる。寒い。一足先に、指さきに雪を降らせてみました。