冬晴れ
夕方、ふみとU君を柔道道場へ連れて行くに、保育園に迎えに行く時、ちょうどSちゃんのパパもSちゃんを柔道道場へお迎えに来ました。
子供3人でわーわーと騒いで部屋から走りだす。
保育園の玄関で、U君急に立ち止まってシクシクし始まった。
「あのね、今日もふみ君のママと一緒に見るだけ、ぼくやらないよ、見ているだけ、えええ〜」
「わかったわかった、まず行こう」
Sちゃんのパパも「そうよ、みんなで行こう」とU君を励ます。
嗚咽しながらU君はわたしの手を握りしめ、歩きだす。
ふみとSちゃんは先に走りだして、Sちゃんのパパは慌てて追っかける。
U君、ただわたしの手をつよく握って、歩く。
Sちゃんが戻ってきた。
「どうしたのU君、柔道やりたくないの?何がこわいの?」
U君は黙り込む。
「あたしだって、めんどくさいと思う時あるよ、でも決めたことだからやらなきゃいけないでしょう。あたしだって、応援してくれてる人は一人もいないよ、でも頑張ってるよ、U君も一緒にやろうよ、何が怖いの…」
や〜立派ですね、さすが女の子、しっかりしていらっしゃる。
わたしは言葉を失うほど、ひたすらSちゃんのことを感心してばかりです。
Sちゃんはふみより半年上だが、U君との月齢はほぼ変わりはない。
SちゃんはU君を説得しながら、さらにU君の手を繋ごうとするが、ゆうと君は無表情でさきちゃんの手を払う。
「ふみ君のママがいい」としか、U君はほかに言わない。
Sちゃんは仕方なくU君のことをあきらめ、一緒に歩く。
ふみは、Sちゃんのパパと前で何かを話しながら歩いてる。
Sちゃんがわたしに向かって、
「ね、ふみ君のママ、今日ね、ふみ君がね、あたしの腕をこうやって叩いてたの、だからふみ君と口きかなかったの。でね、あたし、ふみ君、仲直りしようって言ったけど、ふみ君、全然聞かなかったの」
「そう〜、ふみ君、ああ見えても、照れてるのよ、うちではSちゃんのこと好きだ好きだって、いつも言ってるのよ」
「ふみ君、恥ずかしいの?あ〜やっぱり、そうじゃないかと思った」とSちゃんが。
ひゃ〜、わたし、ばかな男の子たちには慣れてるけど、女の子と話す時、なんだか緊張するわ、へへへ。
道場に着いたら、U君は一応柔道着に着替えをしたけど、参加はしない、しかもわたしの膝の上以外、どこへも行かない。
Sちゃんのパパが誘いに来ると、U君、
「あのね、今日はやらないよ、やらなくていいって先生も言ったよ、ふみ君のママがいい、ふみ君のママがいい、あ″〜、ぼく、ふみ君のママのところにいる、あ″〜、ふみ君のママ、お買い物に行かないでね、トイレも行かないでね、あ″ー、あのね、ザリガニの水は今日やらなくていいんだよ、もう冬だから、まい、まいにち、毎日やらなくていいんだよ、えええ…」
U君もザリガニを飼っている。
後半、U君は完全に落ち着いてきて、わたしのところでくつろいでる。
わたしとお喋りしながら、たまに「ふみ君がんばれ」「Sちゃんがんばれ」とお友達を励ます。
保護者の一人がわたしに、「すごい懐いてますね、親子みたい」と。
U君、わたしとの約束をちゃんと守って、最後の体操の時は、畳に上がって、やりました。みんなと全然離れてるところですけど。
やれやれ。
帰り道、ふみと買ったおでんを持ち、
「ふみ、ママも柔道やろうかな、一時間半ただそこに座ってるより、やったほうがいいかな」
「うん、いいんじゃない?」
「柔道着、着なきゃダメよね、柔道着ね〜」
「花を付ければ大丈夫よ」
はっ?花!?ママをばかにしてない?
でも、すごく笑えた。
喉に違和感があって、今朝、耳鼻科に行ってきました。
診察を受けて、扁桃腺炎、とのことでした。
高熱を出さないため、やや強めの抗生剤を処方。