雨障り

すくすく育ってるにんじん“盆栽”。

朝から冷たい雨、もう冬です。
昨日はブーツを履き始め、今日はダウンコートを着始めました。

今日はわたしのお休みの日です。

冷たい雨の中にふみを保育園に送り、うちに戻ったら、もう出かける気になれなくなった。

ダンススクールをキャンセルして、ソファーに横になって、暖かくして、テレビを何気なく眺める。

こういう日って、ほっとすると同時に、いいのかな、せっかくのお休み、いろいろやることがあるんじゃないかな、との“不安”もあるのは、なぜでしょう。

まだ扁桃腺も完全に治ってないし、疲れているし、たまになにもしない日は、人間にとって絶対必要だし、と自分を説得しているうちに、まぶたが段々重くなり…、10分ほど眠ってしまった。

雨、しっかり降ってますね。雨は沿岸部だけだと、予報はそう言ってたのにね、信じて洗濯もして、困りましたね。


お昼は、野菜スープとチャーハンを作って、食べる。
チャーハン、味薄いわ。
いろんなお野菜を細かく切っていれたチャーハンだけど、塩が足りなさすぎでしたね。

妊娠中に塩分を控えた経験があって以来、塩味にとっても敏感になっているわたしです。

また眠ってしまいました。けど、安心して眠ることができません。夕方の柔道道場に、ふみとU君を連れて行かなくては…と頭のどこかにあり、するとほぼ5分に一回のペースで目覚めてしまう。
本当は今日の柔道道場もお休みをしたい。ふみだけならそうする。けどU君がいるから、そうはいかなくなるわ。

雨だしね、二着の柔道着を、またガラガラで引っ張っていくのは濡れてしまうから、仕方なく、大きいビニール袋に入れ、腕にかけて、傘をさして出かける。

まずコンビニによって、ふみとU君の飲み物を買う。寒いから今日は温かいはちみつレモンにした。

ふみたちの部屋の入り口に行ったら、U君はわたしを見かけて、笑顔で走って来た。
そのU君に、レインコートを着せる時、またしくしく、しくしく、始まりました。
「U君、そうなの?本当のこと言ってね、もし、もし本当に柔道がイヤなら、無理しなくてもいいよ、U君のママにメールをするから、保育園に残ってていいよ」
しばらく黙ってからU君は「行くの、行く、柔道に行く。ね、今日はザリガニの世話しなくていいの、ママが言った、昨日やったから今日はやらなくていい。ね、えんえんえん…、なんで水曜日来るの早いの?えんえんえん」
そばにいるふみも、ちょっと戸惑ってた。


あ〜U君、柔道やらないのに、なんでわざわざ苦しいながら道場に行くのかな、いつになって、U君は楽しく柔道をできるのかしらね〜


雨に中に入り、ふみはわたしの手を繋いだ途端「あ、そうだ」とわたしの手を離れ、U君の手を繋ぎ、U君は私の手を繋ぐ。
わたしはふみに、U君はお母さんが来ないから、ママと手を繋がないとかわいそうだから、着替えをする時もU君を先にすると、ふみに念入り言ってやったから。
ちゃんと理解し、その話を守ったふみに、ほっとした。


道道場に着いて、U君はいろんなネタを探して泣こうとする。
もう、柔道がそんなにいやなら、やめたほうがいいんじゃないかなって、思うようになった。


先生が来て、「U君、ほら、頼んだ柔道着が届いたよ」
U君のお母さんが頼んだU君の柔道着なんだ、名前もしっかりと刺繍してあります。
それを見たら、弱音を言っちゃだめ、なんとかU君に柔道を楽しく思うようにさせないと!

U君、今日は柔道着を着るの拒否。(=_=)

あまり言うと返ってダメになるから、「そうだ、U君、写真を撮ってママに送らないと。U君の柔道着を見ると、ママはどんなにうれしいか」
「うん…、じゃ、着たらすぐ脱ぐよ」
(>_<)

まあ、とりあえず柔道着を身につけるだけでも。

U君に柔道着を着せ、写メールを撮る。

U君、自分の名前が入ってる、サイズがぴったりの柔道着を着ていると、すぐ脱ぐという話しは忘れたみたい。
やったー

U君に向かって、さりげなく、いろんな言い方で説得する。
喘息持ちのU君に、「柔道をやると、体が丈夫になって、もうこんこんしなくなるよ、お薬も飲まなくていいのよ」との話しは、U君には少し効いてるようだ。

「U君、Sちゃんは大きいよね?バラ組で背が一番大きいでしょう」
「うん」
すらっとしたSちゃんは、背がふみたちより頭の半分ぐらいはみ出してる高さ。
「Sちゃんね、ふみよりもさきに柔道を始めてたから、背が一気に伸びたのよ」
U君、さらに動揺を見せた。

「そうだU君、わたしが魔法使いだとのこと、まだ言ってないよね、今からU君に魔法をかけるから、透明人間になれるから、U君透明人間になったら、みんなと一緒になってやれるんでしょう?」
これはダメだったみたい。U君、にやにや笑って、わたしを見る。

「U君、頼むから、畳でやって。今の受け身、U君できるんでしょう」
しつこく頼んだせいか、U君、畳に上がった。「みんなのところには行かない、ふみ君のママの近くで」
「いいよいいよ」
U君、みんなと離れているが、畳の上で、みんなの受け身や脇締めを練習した。

や〜〜ほっとしたと言うか、嬉しくて、先生が近付いてU君の頭を撫で、
「うまいじゃん」と褒めてくれた。

U君はちょっと嬉しそうに下に向くが、わたし、涙が出てきた。
困ったな、涙もろくて、もう歳かしら、とにかくうれしくてうれしくて、U君がわたしを見て「泣いてるの」と聞く。

U君が受け身をする姿、携帯のムービで撮って、U君のお母さんに送った。

もちろん、これでU君もガラッと変わるとは思えない、次またしくしくされるかも、という心の準備は忘れない。
でも、すごい進歩だわ。

今日はほとんどU君のことでいっぱいで、柔道を励むふみの姿を、あまり見る時間がなかった。


雨、夜も結構降っています。


今日のタイトルの雨障り(あまさわり)は、万葉集に出てくる言葉だそうで、
雨のため外出できないこと、との意味だそうです。
「雨障り出でてゆかねば恋ひつつそ居る」ーー(万一五七〇)☂