水上温泉
東京駅から上越新幹線に乗って、一時間あまり走り、15キロにも及ぶ榛名トンネルを通り抜けて、目の前はもう、雪景色。
一昨年の夏もこの宿を利用し、とてもよかったので。
荷物をおろして、さっそくまた外に出て、軽く吹雪状態の中、三人で雪と遊ぶ。
1メートルの積雪に、パパは顔を押し付けて、できあがった“自画像”。
雪合戦もして、
こんなに思いきり雪に触れたのは、どれくらいぶりなんでしょう。
手が冷たくて冷たくて、頬っぺたが赤くなって、三人はやっと宿に戻る。
窓から見える向かいの山は、さっきまで水墨画のようだったが、だんだん灰色になり、白くなり。
夏に行ったあの裏の広い庭園は、除雪してなく、行かないほうがいいと番頭さんに止められる。
「僕は遊ぶ、ママは雪を見てる、パパは、あ、新聞か」もらった射撃の玩具で遊んでるふみは言う。
夕食まであと一時間。ふみはパパと露天風呂へ。
わたしは、何もしないで、このまま窓辺から、視野にいっぱい舞うこの雪を、ずっと観る。
「ママ〜、雪、おさまった?」とふみが帰ってきた。