水上温泉


東京駅から上越新幹線に乗って、一時間あまり走り、15キロにも及ぶ榛名トンネルを通り抜けて、目の前はもう、雪景色。


お迎えに来てる車に乗ってさらに20分、泊まる温泉宿に着く。


一昨年の夏もこの宿を利用し、とてもよかったので。


荷物をおろして、さっそくまた外に出て、軽く吹雪状態の中、三人で雪と遊ぶ。


1メートルの積雪に、パパは顔を押し付けて、できあがった“自画像”。


雪合戦もして、
こんなに思いきり雪に触れたのは、どれくらいぶりなんでしょう。


手が冷たくて冷たくて、頬っぺたが赤くなって、三人はやっと宿に戻る。



窓から見える向かいの山は、さっきまで水墨画のようだったが、だんだん灰色になり、白くなり。

夏に行ったあの裏の広い庭園は、除雪してなく、行かないほうがいいと番頭さんに止められる。



「僕は遊ぶ、ママは雪を見てる、パパは、あ、新聞か」もらった射撃の玩具で遊んでるふみは言う。


夕食まであと一時間。ふみはパパと露天風呂へ。

わたしは、何もしないで、このまま窓辺から、視野にいっぱい舞うこの雪を、ずっと観る。



「ママ〜、雪、おさまった?」とふみが帰ってきた。