雨上がり

午後、ふみは、鼻の詰まりと喉の腫れで、寝るとうまく呼吸ができないほどのことになって、
 
近くの大学病院の救急に行きました。
受付で体温を測って、40度越えの熱プラス“アデノウイルス”との自己申告で、
 
「お子さんのマスクはずっと外さないでください」と、さっそく別通路での案内でした。
 
でも、アデノウイルスに効くお薬はないですから、
てきぱきとした若い女医が、
「呼吸が苦しくなる、これは必ず通る道ですから、仕方ないよ、アデノだから」と、鼻水と痰のお薬が処方されました。粉タイプしかないとのことですが、
 
ふみは口に水と粉を含んだら、今、鼻で呼吸ができないから、飲み込む前に、パーッと吹き出してしまい…
(意図的にウイルスをばらまいているのではないですよ)と親は確信してます。
 
隔離された小さい診察室は、暑くて暑くて、我慢できず勝手にリモコンで暖房を消したが、ムダみたいで、どこかからずっと熱風がグイグイと。
 
診察が終わり、「あの、早く外に出たいですけど」と言ったら、
 
パパは会計に行く許可を得たが、
わたしとふみは、「看護師さんが案内しに来るまで、待ってください」との厳しいお言葉でした。
 
待てど暮らせど、看護師さん、来ません。
 
暑くて、息が苦しくなり、ふみは、ますますぐったりの様子。
仕方なくドアを少し開け、「あの…」
「勝手に出ちゃダメですよ、待ってくださいと言ったでしょう」
 
はいっ。
 
改めて、アデノウイルスの恐ろしさを認識させられました。
 
わたしたちが出たあと、あの部屋、全面消毒かしら。
 
外に出た時には、もう日は完全に暮れて、真っ暗になってました。
 
雨が上った後のヒンヤリした娑婆の風に、涙が出そうなわたくしです。
高熱、あと一日の辛抱だよとふみに言い聞かせながら、自分すら、(ホントかな…)って思っています。