北風ビュービュー
日曜朝のヒーロードラマ、また変わって。
今度は、「キョウリュウ(恐竜)ジャー」というらしい。
ふみはそのキョウリュウジャーを観るため、今朝6時半に起きて、宿題を黙々とやっていた。
「ふみ、ガスストーブをつけてね」と言ったら、ふみやっと気づいたみたい。
寒いでしょうに、パジャマのままじゃ。
今日は晴れて日差しが眩しい。
けど、強い北風で、真冬の如く。
ふみと電車に乗って、御茶ノ水で降りて、聖橋を渡って、
湯島聖堂が見えてきます。
ふみはさっそく「大成殿」でお参り、なんやらやけに長く、ぶつぶつと何かを唱えています。
中に入って、孔子とお弟子さんたちの御位牌がありました。
出て来たふみは、なにもないところで、派手に転んで、
ふみも不思議そうです。
「ふみ、さっき、何かお願いした?」
「勉強が一秒で終わりますように」
「だからよ〜」
「え?バチ当った?」と言って、ふみはまた走って戻りました。
今度も長くもぐもぐ。
聞いたら、「勉強が早く終わりますように」だそうです。
具体的な時間を避けたんですね。
さすが転ばなかったわ。(ふみは、かなり慎重に歩いて)
境内に立派な孔子像が。
帰りは、歩きましょう。お茶の水から、歩いて帰ることに。
風が冷たく強く。こんなビュービューの風じゃなければ、どんなにいいんだろう。
水道橋、飯田橋、濠の岸辺に、強風に揺れる枝を見て、
「ふみ、ここは満天の桜と想像してみて」
「え?」
「ああ〜、きれいな淡いピンク、これ、どこまでつづくでしょう、こんなに咲いてるのに、誰も見に来てないね、一人占め…」
「なに言ってるんだ」と、ふみはあきれているかしら。
あ、沈丁花、咲いて。
するとふみ「危険性が高いです、危険性が高いです」と、沈丁花の前に両手を広げ、ガードします。
「採りやしませんよ」
「危ない危ない」
どうも土手からお花を採ったことを、ふみは、なかなか忘れてくれないですね。