一万

涼しくなって、風も時折ひんやり。


季節の変わり目を感じながら、なんとなくだるい。


夕食のお買い物をして、作って。
ふみのああだこうだの理不尽な要求を聞くと 、余計にへとへと。


イヤホンを耳栓代わりに、好きな歌が流れると、少しほっとして。


イヤホンで気づいてなくて、いつの間にか、ふみはパパと外に出ようと、ラフな格好をして、わたしを見る。

イヤホンを外して、「なに?」

「ウォーキングよ、歩くの、行く?」


ふみはパパと、毎晩欠かさず腹筋のトレーニングをして。

先月は20回、今月から25。

「少ない、少ない、ママ小さい時はね…」、ほんとう、小さい時の体育授業、ふみたちみたいに、縄跳びで遊んだりするだけではなく、本格的なんだ。


体育のテストが通らないと、同じく留年になる。
そのテストの内容は、
800メートル、3分50秒は、ただの合格線、
100メートルは、…
高跳び、幅跳び

腹筋は、48回が合格線だったな、確か1分間で。

体育は好きだが、走るのが不得意なわたしは、800メートルは地獄だった。


腹筋は、毎晩60回、練習して、最後は、笑うたびに慌ててお腹を押さえるほどの筋肉痛になって。


ウォーキングかー、今日はものすごくだるいんだけど、どうしようかな、いかないと、あとは絶対後悔するしな〜


着替えして、スニーカーを履き、出発。


ひんやりした風、助かるー。

やはりイヤホンで歌を聴きながら、結構なペースで、わたしはがんばる。

やや、きつめの坂を乗り越えてたところ、ふみはペットボトルの水を持って後ろから走ってきて、「ママ、はい、水」


それでペースが一気に乱れて。

あー、ほんとうに疲れて、今日は無謀だったわ〜

でもやはり、がんばってよかったわ〜


「ふみ、みてみて、ハッパケ」
「なに?ハッパケって」

「葉っぱのオバケよ」




ハッパケさん、今日も一万歩、歩けましたよ。