ある晴れの日に

子供の頃、近所に、よく“美声”で練習するお姉さんがいました。
声楽を習っているようで、
“あ〜〜〜〜”、“お〜〜〜”

その、爪でガラスを掻くような鋭い声は、わたしには、とても苦痛だった。

こんな妖怪のような絶叫は、なんのために存在するのだろうかって、小さい怒りすら覚えていた。

そのお姉さんは、髪は常に夜会巻きして、藍染のチャイナドレスを着こなしたりして、目立っていた。

その美しい姿にうっとりするが、あの絶叫を思い出すと、背中が冷たくなる。
それほどわたしはソプラノが苦手だった。ラジオから聞こえても、テレビで観たのも、ずっと苦手だった。


なのに今、ソプラノが好き、ソロコンサートならまた行きたい。またまた行きたい。

人間って、変わるものですね〜

「それはそうよ、細胞だって常に生まれ変わってるんだから」とパパが。
ソプランのCDを聞いて、人間って、変わるものですねって、しみじみと。


夕方、ヨガを犠牲して、
“校外”の三人の保護者を一緒に、町会長さんのお宅へ訪問することをしました。

町会長さんは、プロのカメラマンで、打ち合わせはそのスタジオで行いました。

行く前に、単なる新メンバーのご挨拶かと思いましたら、細かく打ち合わせがいろいろあって、二時間近くかかりました。

いつもながら、お母さんたちを心底から感心するわたしです。
だって、みなさま、公人のように、テレビでしゃべってもいいぐらいの、流暢な語り方、適切な言葉遣い、態度、笑顔、それになにより、無駄のない簡潔な内容に、適度なユーモアを入れて、
もう、完璧!とても素人に見えません。

ド素人のわたくし、黙ってそのやりとりを見守っているだけでした。
気付いたら、真ん中に座っているわたし、卓球の観戦のように、ただただ視線を、右左、右左。
(わっ、すごい!)と、壁にかけてるたくさんの長さ形それぞれのレンズに驚き、
(これは、誰だろ、見たことがあるような)と、あっちこちに貼ってある写真を凝視、
と道草をしながら。


カメラマンさん、一見気難しそうに見えましたが、話しているうちに、内心は優しい人間だと、伝わって来ます。ちょっと不器用だけれども、俗っぽくなくて。

Bさんが、町会長さんの息子さんが東大卒ですよと教えてくれて、みんなは「へぇ〜、子育てのコツを教えてください〜」と、


打ち合わせあり、雑談あり、楽しかったです。ま、わたくしは、終始黙っていたのですけれど。
( ^^) _U~~

町会長さん、都内で撮った富士山の写真を見せてくれて、
さすがプロのカメラマン、技術もレンズも別格!

はっきりと写っている富士山は、まるでちょっと歩くと着くような距離です。

帰り際、町会長さんが急にわたしに「お茶かなにか、やってらっしゃる?」

「いいえ」と答えて、了承を得て、わたしはその富士山の写真を、スマホで写しました。