蝉時雨
晴れて、凄まじい暑さです。
パパは朝、関西へ出張。
ふみは今日帰ってきます。
発つ前に、わたしが「送り出すときは、餃子で、お迎えのときは、おうどん。ママの故郷では、縁起のよいこととしてるのよ」
ふみ、「じゃ、帰ってきた日は、天ぷら蕎麦ね」と。
うどんを蕎麦に直したのけれど、素直に聞いてくれたことに、ちょっとびっくり。
わたしの言うこと、なんでも反対、なんでも反発のふみなのに。
この暑さに、できるだけ外出回数を減らすように、昨日夕方、いろいろ天ぷらの材料を買いました。
たくさんの買い物を抱えて、玄関を開けてくれたパパに、買ったものを全部渡しました。
夜11時頃、冷蔵庫のあたりの床をふと見たら、わたしの買い物、全部そのまま無造作に置かれてあります。
エビなどの生物も!
唖然として、とりあえずエビなどの生物を、冷蔵庫に入れました。
今日の午前、それらを取り出して、パックを開けると、尋常じゃない生臭さでした。
室温10度以下じゃないとダメなのに、しかも5、6時間以上も放置されて。
ああ〜、お迎えに行く前に、先に買い物に行かないとね。
ふみたちは4時30分に学校に着く予定です。
その目安で支度していたら、メールが入り、渋滞もなく、3時30分に着く、との学校よりの知らせです。
(゜ロ゜;
お買い物する時間、ないじゃない。
結局、35度の中、小走りでスーパーに行って天ぷらを買って(もう材料を買うより、天ぷらを買ったほうが)、それを保冷剤入りのバッグに入れ(生物ではないが、やはりこの暑さだから)、その足でタクシーを拾って、小学校へ。
3時半ぴったり、バスが到着。
子供たち、お母さんたちの「お帰りなさい」の声の中、ぞろぞろ階段から上がって来て、みんな、すごい日焼けして、ふみの腕に絆創膏も貼ってあって、みんな、疲れた顔をしてました。
校長先生のご挨拶、先生たちのご挨拶、
ふみと帰宅。
帰宅した途端、ふみはテレビをつけて、ロボコン大会をジーッと見ています。
3日間どうだったのか、なにかエピソートがあったのか、キャンプファイアに、ふみは、校長先生の“火の神様”のお使いの“火の子”の役は、うまく務めたのか、
なんでもいいから、話してくれたらいいのに。
黙ってテレビなんて。
「ふみ、どうだった?」
「え?」ふみの視線はテレビのまま。
「だから、楽しかったの?」
「え?うん、楽しかったよ」
「話してよ、どう楽しかったのかとか」
「今テレビを見てるのぉ」
「みんな今、うちで話してると思うよ、なにがあったとか」
「楽しかった、でももう過ぎたことだし。今はテレビテレビ、もう話しかけないで、というか、夕飯はどうするつもり?」
どうするつもりって、……。「天ぷらそばって言ってたから」
「蕎麦?うどんでしょう?お迎えにはうどんって言ってたでしょう?」
え?わたしがうどんって言ったら、ふみが蕎麦って言ったじゃない。
もう。
ま、いいや。
夜、オリンピック見るオリンピック見ると言いながら、5分も経たないで眠ってしまいました。ふみ、やはり疲れたでしょうね。
熊さんがなにかをしている、
熊さんはわかりますけど、サックスはちょっと粗末でした。
ずっとキャンバスを抜く作業をしていなくて、今日やっと。
スプレーでキャンバスを濡らして、糸を一本一本抜きました。
ふみは、もう、なにか楽しいことがあったら、「ママママ、あのね」って、満面の笑みでやってくる、あのふみじゃなくなったかしらね〜