十五夜
パパは関西へ出張です。雪で新幹線が遅れることを案じて、今朝、早いうちに出ました。
今日はふみと塾の親子ガイダンスに出席しました。
出てきたのは夕方6時半過ぎです。
澄んで夜空、冷たい空気、ふと、道の向こうのビルのガラス窓に、まん丸の月が写っているのを気が付いて。二人立ち止まってしばらく見ていました。
美しい〜
今日は十五夜ですね。今日の月も、静寂で、奥ゆかしい。
ふみは、お受験すると決めた以上、これからの一年、正確に言うと、11ヶ月、相当たいへんな日々が待っています。
勉強の量が増えるのは当たり前ですが、土日祭日、首都圏模試、合不合模試、塾のテスト、私立向きの試験、都立向きの試験…、
お金を払って、都内のあっちこちに試験を受けに行って、判定してもらって。
もらったスケジュールをカレンダーに書き込み、黒いボールペンの小さい字、蟻のように、各ページへ這ってゆく。
ふみの学校の6年生、もう誰誰がどこどこに受かった、誰が落ちた、全員知っているようになって、落ちた子、それでも学校の最後に二ヶ月を通わないといけない、相当のメンタルが必要だとわかります。
ふみも実感がちょっと湧いてきたじゃないかな。
頑張るしかないとわかって、それで行動に移ってもらったら、なにより嬉しいですけどね。
入試報告会が、先週ネットからの申し込みが始まって、さっそく申し込んで、ちょうどパパの休みの日で、パパが行くことにしました。
助かりました。
今日の夜、貰った資料を見て見ると、わたしが申し込んだ日、ふみが希望してる学校の名前がなく、その学校のは、別の日に、別の場所になっています。
一瞬、心臓がとまったかと感じました。
わたしのせいでこれに間に合わなかったら、と思うと…。
ほぼ震えながらパソコンを開いて、何ヵ所か締め切りになってますが、なんと、希望するところ、まだ大丈夫でした。
深呼吸しながら、無事に申し込みを完成し、パパに確認したら、確かに完了のメールがパパのスマホに届いたそうです。
ほっとした同時に、頭がじわじわと痛くなってきて、吐き気がしてきました。
ふみはゴミ箱にビニール袋を敷いて持ってきて、「吐くならここにね。しょうがないね」
「だって、やるせないよ。録画の予約はよく失敗するわ、申し込みは間違えるわって、ママ、何の役にも立たないじゃないの、やるせない」
「ま、確かにあまり役には立たないけど、でも大丈夫よ、いいじゃない…」
後ろの話し全然耳に入れなかった。役に、立たない。はあ?
情けなくて、なぜか大爆笑するわたし。
ふみも笑って。
「ふみそれはひどいよ〜」
「でも、ママはそうじゃん、へへへへ」
ふみが眠ってから、わたしはお洗濯をして、干して、それからカレーを作りました。
明日、わたしは朝からお仕事です。
またふみ一人うちにいて、お昼カレーを食べて、ボクシングへ。
もう、こんなこと、これを最後にします。
これからの土日祭日、ふみがいる時、わたしはいるようにします。仕事は、ふみのことの次にします。
残り11ヶ月、もう頑張らないと。