夕焼けと雪
蒸し暑い日が続いています。
昼間、二度の短い通り雨で、蒸し暑さが一段増した感じです。
夕方、異様にきれいな夕焼けが空を真っ赤に染めました。ベランダに出て、身を乗り出して、北の空に向かってシャッターを押す。
「夕陽無限好 只是近黄昏」
その後、空はあっという間に暗くなり、カメラに収めてないなら、きっとさっきの夕焼けは幻だったかと疑うほどです。
ふみは独りで畳の部屋に入り、こそこそと何かをやっているようです。しばらくして扉が開き、大きい紙袋が現れました。ゆっくりと移動している紙袋の下に、ふみの足が見えます。
「おばけだよ、こわいおばけ来たよぉ〜」と、頭に大きい紙袋を被って、体がほぼ見えない“オバケ”はこう言いながら、すでに自分が我慢できなく、ケラケラと笑っています。
愉快なふみでした。
大学時代、ある授業で、若い先生が私に
「君のところは雪降るだろう、どんな感じ?」
「日本の雪のように水っぽくないですし、すぐ溶けもしないです。だから雪で傘をさす人はいないです。雪は、軽くて、大きくて、羽みたいです」私は考えながら答えました。
「みんな聞いた?羽みたいだって、羽だぜ」とその先生がなぜかちょっと興奮気味でした。
ふるさとの雪は、よく「雪花」という言い方が使われます。
降るとも言わなく、「飄」、つまりゆらゆら舞い散るという感じかな。
その時の雪が好きでした。
雪が降ってくると、天と地が急に限りなく近くなり、その空間で立ち止まって話をする相手の顔も、白い羽のような雪で、限りなく柔らかく、温かい。
今宵、無性にその雪が恋しくなりました。