げんじろうしゃん

「これはなんというもの?」
ふみは何かを尋ねる時よくこの言い方をする。



「これはなんというもの?梅干し?おいしそうだね〜」
ふみは梅干しが苦手なんだ。だけどふみにとっては気になる存在なのは確かなのだ。
お弁当を食べる時は必ず白いご飯に梅干しを載せてるのを選ぶの、けど食べないの。



「げんじろうしゃん?げんじろうしゃん〜どこにいるの?」
一年ほど前、ふみが保育園に入ったばかりの時、玄関にげんじろうという鸚哥がいた。ふみは毎日けんじろうに声をかけてた。
まもなく、げんじろうが死んでしまって、以来、ふみは鳥かごのようなものを見ると、いつもこう言って、げんじろうしゃんのことを思い出すみたい。



「ふみふみ、こっちにおいで。これみて、もしかして、あばじゅ?」
ふみはしばらく人形を見つめて、触れもせず、黙って走り去った。



ヨガ?



結局はこのコーナー、永遠に飽きないコーナーなんだ。




ブーメランを買った、バスに乗って帰って来て、うちに着いたらすぐブーメランを取り出してやって見せた。
ふみもやろうとするが、なかなかうまくいかず、「ふみ、ブーメランをやる前にちゃんと踊らないとだめよ、ブーメランさんは歌と踊りがないと元気がでないの。こうやって、♪ブーメラン〜ブーメラン〜」
「♪ブーメラン、ブーメラン…」ふみはママに付いて踊りだす。
はははは、
ふみは真剣だけど不器用だから、アフリカ部族の踊りに見える。
ふみも笑った。
二人で笑った。
ブーメランも笑った。