夏バテ

とうとうこの暑さにやられたというか、この暑さに飽きてしまった。
あたまがぼーっとして、何もしたくない、外の真白な日差しに対して「いい加減にしてもらえないかな」と呟きながら、私はやっぱり北国の生まれだなと苦笑する。


毎年このパターンみたい。世にアツいアツいと騒いでるのを聞いて、たいしたことないのになと思ってまもなく、いわゆる夏バテが、ある日、急にいっぺんにやってくる。


それも毎回きっかけがあるんだけどね。
今年のきっかけは、ある方が、会った途端に「やぁ〜暑い、あぁっつい、イヤになっちゃうよ。たいへん。暑くて気持ちわるいわ。もう動くと汗ダラダラ、何とかならないかねこの天気…」
この話を聞いて、そのしんどそうな顔を見て、私まで急に頭がぼーっとしてきた、いやーな気持ちが胸に充満、軽い吐き気まで…


イヤなことは口にすると、とことんまでイヤになるね。どうにかその境界を守って、口を閉じて貝にならないとね。


その晩、頭痛が一層まして、痛み止めを飲んで、まだ早いうちに氷枕を使って眠った。夜中起きて温かくなった氷枕を換え、なんとか続けて眠った。


昨日と今日は暑さが一段落したお陰で、なんとか蘇った感じ。


ふみは夏バテ知らずに元気だった。
土日とも早朝にお寺に行って“お掃除”。モップやホースで一所懸命だった。しかもなぜか裸足で、いかにもやる気満々。

お寺にお手伝いに行く私と一緒にみなさんに出すおにぎりを買いに行ったり、また買ったものをお盆に載せ上まで一緒に運んだり。ふみ、何でこんなに楽しくいられるのかな。
うん?床が温かい、というか熱い、いつの間にか床暖房が入れられてる!そういえばふみがさっきテーブルの下にもぐったんだな。
「しゃがわ急便でし」と言ってキャスタ付きの椅子を押して走り回る、玄関のチラシを載せて、関係ない場所まで運んでおろす。
汗がふみの額にキラキラ光る、笑みはふみの顔にずっと絶えなかった。


昼寝の時間でふみを説得して家に戻り、あっという間に熟睡。



知り合いがふみのためにカブト虫を捕まえたというから、
「ふみ、カブト虫だって、取りに行かない?」
「こわい」とふみが小さい声で言った。

実際なんとなく気づいたけど、ふみは虫など見ることが好きみたいけど、触ろうとしない。もしかしてちょっと苦手?


「え?ふみカブト虫が怖いの?好きでしょう?」
ははは、私はちょっと得意そう。


「しきでし。行くぅ」
「じゃ、行こう、取りにいこうね」


しばらくして、ふみ急に
「カブト虫、忘れてしまおうか」


はははは、やっぱり苦手なんだ。


でもせっかくだから、取りに行った。
ふみはかろうじでカブト虫の背中をちょんちょんとして、あ"と叫んで、笑った。こわいんだ。


しかしカブト虫の、なにがいいのかな、ゴキブリの従兄にしか見えないしね。私はごめんだ。
お気持ちを充分頂き、里親探すわ。


浅間から、たくさんのトウモロコシが届いた。近年、知人が夏になると送ってくださる。
甘い甘いトウモロコシ、クリームのような味してやわらかくて非常においしい。
さっそく茹でて頂いた。
去年のふみは、とうもろこしをまだちゃんと食べられなかったが、今年は黙々と賞味してた。


小さい頃食べたトウモロコシは、硬くて、一粒一粒に固体の中身が充満してた。さすが食糧として使ってたから。
今のトウモロコシは、噛むと皮と甘い汁しかないんだね。
もう食糧としてでもなく、軽いオヤツだね。
トウモロコシ大好き!