24時間テレビの日

晴れ間が出たと見て、朝早くふみとお出かけ。


ふみの自立心による反抗期はまだまだ続いてるため、もちろん毎回ながら出かけるのはそう容易ではない。
ふみはいくら出かけたくても、素直に着替えしたり、靴を履いてくれたりというのがあり得ないから。いろんな理由を作る場合もあるし、ストレートに「イヤだ、出かけたくない!行きたくない!」というのもしばしば。


これらの、こっちから見て無意味な反抗が、自立へ結びつく道なんだそうで、溜息するしかないや。
しかし私の小さい時もこんな時期があったのかな、記憶にないし(あたりまえ?)、母親からも聞いたことがないね。聞いたところは私は小さい時からずっとおとなしくて静かで、手間のかからない子だけどね。


今朝ふみのお出かけ前の“行事”は新版だった。
「ふみ、早くして。靴下。バス間に合わないよ。バスに乗りたいでしょう」
「靴下履かない!靴履かない!…ちょっと新聞読んでくるから」
?!…
思わず笑ってしまった。
ふみは励まされたように、「新聞読むのぉ!」とさらに強気。


なんとか本数の少ない日曜日のバスに間に合って、ふみと新宿西口の郵便局へ。そこは日曜日でもやってるから。
ふみのしつこい邪魔の下で、やっと伝票を書き、郵便物を無事にだした。


伝票を書く間どうもふみは寂しかったのか、「ママ抱っこ」と甘えて、ヨドバシカメラの店員さんの大音量の商品紹介のセリフの響きの中、14キロあまりのふみを抱っこして歩く。
「ママ、ふみ髪シャンシャン?匂いかいで」とふみは汗っぽい頭を私の顔にくっつける。

シャンシャンとは、香香の中国語。よくふみの頭に鼻を当てて、「チョウチョウかな(臭臭)?シャンシャンかな」とやるから、ふみもう覚えたね。


「シャンシャンだよ、シャンシャン」
ふみ満足そうに笑った。


涼しいデパートに入って、ふみは目に入ったベビーカーに急に興味を持つ。
「乗る〜」と言った時すでに素早く中に入った、しかも素早くシートベルトまで。
2歳8ケ月の子はベビーカーに乗らなくてもいいのに、っていうか乗ってほしい時期はどうしてずっと抵抗しっぱなしだったの?


ベビーカーに乗ってるふみは上機嫌。

なぜか“おじしゃん”と自称し始めた。
「おじしゃんはトイレいくか、ハイ、バックしまし、バックしまし…」
なんだ、ベビーカーをショベルカーと想像して楽しんでるだけだね。


デパートの用が終わって、三丁目の紀伊国屋書店へ。
前回行った時、小さい音楽の出る一冊の絵本を気に入ったふみは、またそれを探した、けどなかった。ちょっとがっかりした様子。

「キュウリはギューギューギュー・キャベツはシャキシャキシャキ・玉ねぎはエンエンエン・も、や、しは、シュワシュワシュワ」との単純な歌の絵本だった(何回もボタンを押して聞いて、ふみも私もその歌を覚えた)。


日曜の新宿三丁目歩行者天国。普段歩けない車道に、ふみはいつものようにハシャぐ。ついさっきまで眠いと言ってご機嫌斜めだったのに。(写真の中央の小さい姿はふみ)


何周か走り回ったら、疲れたのか、ふみが取った行動は、アスファルトの上にパターンと横になって、休む。まるでベッドの上のように。


びっくりした。ふみを起こして手を繋いで歩く。
無言の私を見てふみは何かを感じたんでしょうか
「ママ怒った?」と小声で聞く。
「怒ってない。ママはふみが羨ましい。自由だな」と私も小声で言う。
本音です。


うちについて、ふみを寝かして。イヤホンを付けてテレビを見る。24時間テレビ


いつものように、いいえ、いつもより涙が止まらない。この番組を見ると。

今回、印象深いのは二人でした。
一人は、10万人に一人という重病を持つ子供とその母親。
子供は横になってる以外何にもできない。すべての筋肉に力がなく、食べ物を噛むすらできない。
二時間置きに薬を換えなければいけないので、子供が生まれてから母親は2時間以上続けて眠ることがない。噛めないから食べ物は流動食にするしかない。なのに母親は、毎食流動食と普通の食事との二種類を作る。流動食は管を通して胃に入れるが、普通の固体の食事は母親が少しずつ、噛むことも飲み込むこともできない子の口に入れて、しばらくしてまた取り出して、次のを入れる。


「母親の手料理も食べられないと子どもがかわいそうじゃないですか、そう思っていつもこうやって少しでも私の料理を感触で味わってほしいなって…」と母親は笑顔で話す。ニコニコして清潔感あふれるきれいなお母さん。

声が出そうに泣いた、涙でテレビ画面が見えないほど。


もう一人は、北海道の10歳の男の子。
生まれてきた妹が可愛くて可愛くて仕方がない、ちっちゃい妹は大脳がどんどんなくなっていくとの難病。男の子は絶えずに仰向けになって、しゃべれない動けない妹をチューして、話しかける。
「妹は、宝ですね」と男の子は言う。
一年も生きていられないと医者に言われた妹は、4歳の誕生日迎えた。

男の子は自分の気持ちを歌詞と書いて、アイドル歌手がその詩に曲を作った。
男の子は何回も練習して、妹の愛ちゃんに向かって一生懸命歌った。
「…愛ちゃんが生まれた日、兄ちゃんは髪を切って出向いた、愛ちゃんにチューした……最後に伝えたいことがある、だいすきだよ」


テレビを見てこんなに泣ける自分に驚いた。
こんな10歳のお兄ちゃんを持つ愛ちゃんが一日も長く生きるように、一生懸命祈った。


生きてることって、素晴らしい。