腫れた目

昼間いかに晴れても、夜は雷雨になる。短い雷雨、長い雷雨、とにかく最近は定番になってる気象である。今度の日曜日はもう中秋の明月だね。晴れればいいね。


今朝起きて、ふみの瞼がちょっと腫れてるのに気づいた。虫に刺されたのかな。あたりを見渡すと、蚊がいた。満腹で眠ってしまった蚊を、夢のまま他界をさせ、ティッシュについた血を見て、結構吸ったんだなとわかる。


31度の気温だそうで、湿度がないため、まあまあ過ごしやすい。ふみと歩いて登園。
しかしふみはおしゃべりだね。目に見たものをほとんど実況中継。なにしろ完全に眠るまではしゃべってるもの。
「もうしゃべっちゃダメよ、ねんねねんね」
ふみは黙る。でも一分間もしないうちに「しゃべりたい」とふみのちょっとうとうとしてる声を聞くと、笑ってしまった。
やっと片言の日本語ができるようになった時の自分を思い出す。それまでは、日本語をぺらぺらとしゃべってる人の口を、私はよくじーっと見てしまう。
「この人はなにを言ってるのかな、知りたい知りたい!どうしても知りたい、そして自分もこうやって流暢にしゃべりたい」という気持ちが強くあった。だからでしょうか、私は書けるより、さきにしゃべれるようになった。しゃべってから、1に戻って、文法を習い始めた。
語学の勉強法にしては、決して正しい方法とは言えないが、そういう方法もあるってことだ。


夕方ふみを迎えに保育園へ。玄関でふみと同じ組のNちゃんと会って、私の手を繋いで、「ふみ君、おめめ、…なったの」。よく聞き取れなかったけど、ふみの目がなにかあったに違いない。
「そう〜、教えてくれてありがとう、Nちゃんすごいね」と言いながら、目でふみを探す。


いつもと変わらない走り回ってるふみ、私を見つけて走ってきた。
今朝刺されたかと思われるふみの目は、さらに腫れてきてる。ちょっとびっくり。
「お母さん、ふみ君の目は確かに蚊に刺されたんですよね。でもちょっとひどいですね。今は多少ひいてるんですけど、昼寝から起きた時もっと腫れてました」と先生が。


腫れてる瞼を重そうに持ち上げてふみは私を見る
「ママ、帰ろうよ」。ふみの顔は少し不安だった。やっぱりオトナたちが自分の目を心配してると、ふみは不安なんだ。


帰り道にある小児科に寄ることにした。
きれいな清潔な建物の小児科だった。玄関から待合室まで、大きい油絵が何枚か飾ってある。ぬいぐるみをおんぶしてしゃがんで遊んでる子、正面に笑ってる子、静かに微笑んでる子。実にいい絵たちだ。


受付時間は終了してるし保険証も持ってきてなかったのに親切に対応してくれて、やさしそうな院長先生が診てくれた。
虫にさされたような、ものもらいのような、まだはっきりわからないが、炎症になってるには違いない。抗菌と、抗アレルギーの飲み薬をくれた。
「汚れた手で目を擦ったりすると、睫毛のところからも細菌が入ってくるのですよ」と先生がやはりやさしそうに言った。


これで安心。ふみも嬉しそう。
「ママ、おくしり飲んだらよくなるの?いたいいたいない?しぐなおるの?」と、ふみはお薬の袋を握って離さない。「イヤだ、これふみの!」。はいはい、ちゃんと持っててよ。


夕飯は、最近にしてはテキパキと春巻を作った。
豚ひき肉・にら・椎茸・いり玉子
自画自賛のようだけど、本当にいい出来で、おいしい〜。

なのに、ふみは一口食べてから、もうフォークをおき、牛乳を飲んだり、あちこち見たり、食べようとしない。
やっぱりね…。
ふみはニラを食べないのだ。以前は食べてた。その後徐々に苦手になったようで、最近になって完全に受け付けなくなった。
ニラ・ネギ・ショウガ、全部だめ。私の父親にそっくり。
父は特にニラを許せないみたいで、私たちがニラの水餃子作る時、必ず父に白菜の餃子を作ってあげなくてはならないのだ。
しかも餃子を茹でる湯が、もし先にニラ餃子を茹でたら、父は大げさに鼻をつまんでその湯を捨てて、家事をしない人なのに、この時だけは丁寧にお鍋を洗い、新しいお湯を沸かして白菜餃子を茹でるのだ。
ふみも…まさかね。
しかしせっかくおいしく作ったのにね、あ〜〜。


さっき小児科で、ものもらいかもしれないと言われた時、私は先生に
「先生、ものもらいになる原因はなんですか?」と伺った。私はふみがあまり野菜食べないことをとても気になって。
「原因といわれてもな、ははは」。先生はおおらかに笑う。
「先生、この子お野菜を食べないんです、それが原因でしょうか」
「それは関係ないですね」
(@_@;)ふみの前にこんなにきっぱりと言わないでいただきたいな。

「ぼくー、やさい嫌いなの?」
「うん」
「人参さんは?」
「きらい」
「そう〜ははは。じゃ、そうせいじ好き?」
「うん!」
「ハンバーグ好き?」
「うん!!」
「そっか、ははは、子供ってこうですよ」


そうですか。この子カレーも大好きですよ。一日三食カレーでもいいぐらい。インド人になればいいのに。


ふみはまずそうな顔しても、二種類の粉薬を全部飲んでくれた。
「整腸剤は?」とふみは昔飲んだ整腸剤の味をどうもなかなか忘れられないみたい。たびたび注文する。


寝る前に定例の中国語のお勉強。
「お鼻は?」
「鼻子!(ピーズ)」
「あんよは?」
「ジァオ!」
「お耳は?」
「ぐじゅぐじゅ&%$#”」、ふみはふざけ始める。
なんか覚えが悪いね。
だけどお尻は一発で覚えた「屁股(ピーグ!)」\(◎o◎)/!
言葉の勉強って、なんでこうなのかな、汚い関係の言葉はすぐ覚えられる。おとなでもこどもでも一緒ね。


夕方ベランダから見た空です。
目を閉じて、しばらくしてからまた目を開けて、「…、ここはラサだ」と思うよ、本当に。