網の行方

生きてる化石とされてるカブトエビは、言われた通りの1ヶ月の寿命で大往生。しかも二匹一緒に。カブトエビ、本当に楽しませてくれました。短いけど愉快な人生を見せて、ありがとうございました。


カブトエビを偲びながら、ベタを買いました。

ペットショップによるたびに、ベタのこの神秘的なブルーに惹かれてました、それに熱帯魚と違って、瓶でもって飼えるぐらいの丈夫な魚で、昨日の夕方、買ってきました。

こんな優雅な佇まいだが、別名は“闘魚”(!)、だから一匹にさせるしかない。まあ、メダカと違って、孤独に似合う雰囲気ですからよかった。


今日も秋晴れ。
陽向は暖かい。パパに買ってもらった虫取り網を持って、9時前にうちに出て新宿御苑へ出かけた。

うちを出た途端、
「あっ、ふみ、ダンボール忘れた」と私はゴミ置き場の新聞やダンボールを見て、今日は週に一回資源ゴミの日のことを思い出す。
ダンボール、いつも忘れるね、ママ」とふみに指摘された。
その通り。
急いで戻りました。


「いいお天気だねふみちゃん」と、私はダンボールがまだゴミ収集車に間に合ったことにホッとした。
「うん、いいお天気でしね〜晴れてるし」とふみが。
「ねぇ〜」と私は適当な返事。
「風もないし」
「ねぇ〜」
「紫外線もあるし」
「ね〜、はっ?紫外線?紫外線は…、困ることだよ」

良い条件と並ばないでよ。
ママには紫外線が大敵だわ。



ふみと手を繋いで朝の街を歩く。

パンツ姿のふみは、すっきりした感じでお兄ちゃんっぽい。そういえばこの間余った3袋のオムツを返品した。


昨日朝では、ふみがちゃんとおまるに座って、うんちまでしました。もうお兄ちゃんだね。


御苑の入り口に、管理人さんが網を見て、昆虫を取ったらすぐ放してあげてくださいと優しく言ってくれました。
はい。そうつもりです。


朝の御苑、まだ人影が少ない。




この巨大な銀杏の木、季節によっていろんな顔を見せてくれる。

黄葉の時も何回も来たのよ、覚えてる?ふみ。



銀杏の前に、相変わらずお花がきれいに咲いている。



トンボが飛び乱れている。
ふみ、網を持って一応振り回したりしてたんだけど、すぐやめた。



「どうしたの?ふみ」
「亀しゃんのおいけに行きたい」

やっぱりね。思ったよ。いつの間にか、御苑に行くと言えば、ふみはお池の亀や鴨に餌をあげるばかりだもん。


せっかく地下鉄一駅の距離を網を持って歩いて来たのに。しょうがないね。
こうなったら私がと小さい時の記憶に頼りにして、網を振り回す。
あれ?小さい時、こんな便利な網なんかなかったわ、素手で(!)やってましたもん。


気が付いたら、ふみしゃがんで、草を触ってる、いかにもつまらなさそう。
「亀しゃんに餌やりたい」
なんだよ〜
「網、よその子にあげようか、…、わかった、行こう」
ふみはすぐ立ち上がって、満面の笑みで手を繋いでくれた。



お池に、今日は珍しいお客さん

シラサギです。飛んでる時の姿は、実に美しい。


網を石灯篭のところに置き、売店に向かう。
いつも買ってるお米のお菓子がなくて、進められたバターの入ってないビスケットを買った。
「亀は何でも食べますよ」と店員さんが。


売店の横の休憩所に座り、お池を眺めながら休憩。




ベタみたいな人が通過、きれい





再びお池に向かう。
ふみ急に立ち止まって「あ〜」
視線の先を見ると、私も思わず「あ〜」


小学生ぐらいの男の子が、私たちの網を持って休憩所に向かって走ってる。
お父さんと思われる人が
「その網どうしたの?」と聞き、
「拾った。ね、見て、魚取れるよ」と男の子は興奮状態。


何にも言えなかった。男の子、あんなに楽しそうだもん。


「ふみ、しょうがないね、お兄ちゃんが持ったし、ママが悪い、誰も来ないと思ってそこに置きっぱなししたの。しょうがないよね」
「しょうがないね」とふみもあっさり。


お池に着いて、鴨たち餌をあげるとわかって、すぐぞろぞろと近寄ってきた。



亀しゃん、6、7匹も

亀はなかなかノロイもので、口のまん前に落とさないと、食べられないみたい、鴨がそれを平気で取って食べる。


亀に餌をやってる間、さっきの男の子が網を持って、すぐ隣で魚を掬ってる。
「あのぅ、あれは虫を取るやつで、脆いから、水に弱いと思うよ」と言ってあげた。
「うん」と、男の子が魚を取り続けてる。


「お兄ちゃんが網を持ったね」とふみは他人事のように呟く。



御苑に出る時、管理人さんに
「網どうしたの?」と聞かれ、
「あ、置いて売店に行ってる間、違う男の子に持って行かれたんです」
「え?言えばいいのに、私のよって。で、このお兄ちゃんはだいじょうぶなの?」とふみを指して、
「ええ、だいじょうぶみたい、しょうがないって言ってます」
「そう〜はははは」


ふみと帰りにいっぱいどんぐりを拾った。