秋雨が降る一日

もう十月ですもんね、あちらこちらから漂って来る金木犀の香りがそう教えてくれています。


朝まだ6時ちょっとすぎ、ふみはもう元気よく「おはようごじゃいまし」と目覚めました。
「ふみ、6時半に起きようよ、もう少し寝よう」
「イヤだ」
仕方なく起きて、しばらくして、ふみは
「早いね、まだねぇ〜」
誰のせい?


秋雨が夕べからザーザーと降っています。
ふみは「雨はこまるね」とか言って、明らかに大喜びで外に出た。
週明けの保育園への荷物は大きいから、雨は困るね、と思うのはママだけ。


ふみは雨の水たまりがあるたびに、パシャパシャ、「ピチピチジャブジャブランランラン」


今日も一気にあの長い坂を登りきって、と、そのところで、大きいガマ蛙が死んでた。
大きい白いお腹が風船のように膨らんで、仰向けで雨に降られてる。
「ふみ見て、蛙さんが死んでる、どうしたのかな」
「蛙しゃん?どこ?」ふみの声はワクワクな感じ。


私の指差しでふみはあの蛙に目を止めた。
ふみは黙ったあと、
「へへ」と笑って、すぐその場から離れた。


こわいんだ。
ふみは最近怖く感じる時、なぜか「へへ」との笑うような二声です。


この前、ミミズが道端にいて、教えたら、ふみはしゃがんでその干されて苦しそうにネジネジしてるミミズをしばらく見て、「へへ」と立ち上がってその場を離れた。

チャンスだと見て、ふみに声をかける
「ふみどうした?怖い?怖いでしょう。ヘビはもっとこわいよ、ヘビは何十倍大きいミミズだよ」
ふみは「こわい」と小さい声で言った。
ふふふ、だってふみは私はヘビが苦手だとわかって、ちょくちょくヘビの話題をだす、この間、
「ヘビって噛み切れる?」と問うほど。気持ち悪いわ。
しかしヘビを噛み切るなんて、どんな状況?一人で無人島とか?



先日、“Nおばしゃま”から、ふみに、と送ってきたものがあって、
言われた通り先に添付しているお手紙を読んであげて、セミの脱殻だと知ってふみ慎重に箱を開けて見た、やっぱり「へへ」言ってと手早くまた箱の蓋を閉じた。

お庭で拾い集めたというたくさんのセミの脱殻、感心しました。



注文したベタ専用の水槽が届いた。
ベタは南の魚のため、水温が20度を下回ったら死んでしまうという。
これからの季節、水槽専用の電気ヒーターがないと厳しいんだ。
ヒーター、水を濾過する装置、水草などがセットで届いて、安心した。
ベタは優雅に静寂を味わってる。




今日アレンジのお花、テーマは言うことなく「秋」




ふみをお迎えに行く時、すでに雨は上がった。
わざわざ今朝のガマ蛙が眠る場所によってみた。
遠くからあの風船のお腹が確認できないなと思ったら、その場所のすぐ近くの石崖に移動され、ガマ蛙は仰向けではなく、壁に腹ばいになってる状態だった。
どなたかガマ蛙の最後の尊厳を取り戻してあげたね。
蛙さん、お疲れ様。おやすらかに。向こうの世界に仲間の蛙がたくさん待ってるよ。きっと。



「ふみ君、ふみ君のママよ」とお友達に教えられ、ふみ、笑顔で走ってきた。
保育園の先生としばらくおしゃべり。
今日の昼寝は、年長組(と言っても4、5歳)のお兄さんたちが隣のランチルームで遊んでるから、声かけて、ふみ君たちを寝かすのを手伝ってもらったという。
そうしたら一人お兄ちゃんがふみ君と一緒に横になって、背中をトントンしてあげて、ふみ君は緊張のせいか、いつもと違って、まっすぐになって目を閉じて10分もしないうちに眠ったのよ〜


へぇぇぇ〜いいな、お兄ちゃん、うちにも来てくださいな。


先生は急に思い出したように笑いだして、
今日雨上がった時、みんな一斉に中庭に出たいから、入口で靴を履こうといっぱい座ってるじゃない、そうしたらふみ君もお靴を持って早く履きたいから、一番前に座ってる子に、「早くして」って、後ろから靴べらを持ってあの子の頭を叩いたの。いけないことだけど、その様子がおかしくて、笑うのを我慢して、「ふみ君、いけないでしょう」と…



帰り道、
「ふみ、お友達を叩いたの?」
「うん。L君、L君の頭をバ〜ンと」
「だめじゃない。お友達叩いちゃだめよ。ふみだって叩かれたらイヤでしょう」
「うん」
「なんで叩いたの?」
「靴べらで」
「じゃなくて、ママは理由を聞いてるの。どうして?」
「靴べらが長いから」
あ〜長いから届くんだ、じゃないでしょう…、
噴き出してしまった。笑っちゃいけないけど。
ああ、おかしい。




「ママ入ろうよ」とふみは私の手を引っ張って薬局に入ろうとする。
「なんで?ママ、ここでお買い物はないよ」
「あるの。白いの。昨日じぇんぶ使ったから、お風呂の」
あ〜入浴剤ね。
よく覚えてること。



ふみはジャンプしたり、私の手を引っ張ってグルグル回ったり、訳のわからない歌を歌ったり、よく疲れないなと思ったら、
「抱っこ。ママ、ご褒美の抱っこ!」
「なんのご褒美よ、ふみ何も頑張ってないのに」
ふみ、ははははと笑った。



こうしている間、手に掛けてるふみのカッパをどこかで落とした。
ま、いいや、どうせあれはもう短くなってるし、長めのはすでに買ってあるし。