運動会


今日は運動会です。
この一、二カ月の間、ふみたちは、しょっちゅう、かけっこと踊りを練習してきました。

連絡帳に、「かけっこの時、名前を呼ばれると、手を挙げて大声で“は〜い”と元気よく返事するふみ君です」とか、
「頭にクワガタの飾りをかぶり、リズムよく踊ってました」とか、
「ふみ君、今日の総練習も一生懸命走ってました、結構速いですよ」などとたびたび書かれてました。


早朝、パパがおにぎりを作ってくれました。ふみの好きな海苔もちゃんと巻いてあります。
荷物を持って、秋晴れの朝、三人で会場へ向かいました。

すでにたくさんの人が来ています。
二歳児保護者と書いてある場所に行って、シートを開き、腰を下ろしました。


運動会が始まって、文伯は素直に先生の手を繋いで保護者から離れてる場所に行って、お友達と一緒に、並べられた小さい椅子に座って、おとなしく出番を待っていたのです。


年長組の華麗なショーのあと、ふみたちの組の出番になりました。

みんな会場の真ん中に立って、先生の動きをまねしながら踊っています。
けれど、ふみだけ一人離れて、“本部”と書いてるテントの真ん前に立って、
なぜかテントに座ってる議員などのおエライさんやお客さんたちを、ボーっと見つめています。


何かが気になったのか、何かに気を取られたのか、まったくわからない。


最初は心配してましたが、だんだんおかしくなって、笑いがとまりませんでした。


ふみはそれから調子が狂ってしまいまして、しゃがんで砂遊びを始めたり、ビデオを撮っていたパパを見つけて、そこに居座りしたり…


かけっこの時も、全然走ろうとしない。周りのお友達は3、4人一組で一生懸命競走しているのに。


ふみの組の保護者の出番。
“女優組”に分配されてる私は、
「きょうこちゃんは、なにを探すの?」とのセリフです。
無事にセリフが終って、私たちは虫取り網を持って、子供たちが装ってる虫を捕まえに行きます。


キャーキャーと叫ぶ子供たちは、あっちこっちに逃げ出します。一人だけ、お母さんに向かって自ら走ってきて、母親の持っている虫取り網を奪おうとしています。
ふみです。



ふみの組の競技がすべて終わり、ふみはお菓子やミカンのお土産をもらって、堂々とシートに座り、いかにも“頑張った”という顔をして、パクパクとおにぎりをかじります。
時々、「お茶」、「もっと」と指示を出す。



昼寝から起きて、テーブルの前でおやつを食べるふみ、
「うんどうかい、つまらなかったね。うん!」としみじみの一言。


なんということ!