新大久保の店で

一週間ぶりに晴れました。道端の木の葉っぱも少し色づきし始めたのです。


広いお空に、雲一つないや。


今日は満月で、夜空にも雲がなく、月、眩しくさえ感じます。



昨日、古い知り合いと会いました。
Kさんは、いつもの調子で、私から見ればとんでもないハードなスケージュルで動く。
いくら久し振りに会っても、まるで昨日会ったばかり、というように、挨拶の言葉もなく、「ね、どう思う?あのさぁ…」みたいな言葉が始まりです。


Kさんは話しながら、つらそうに首を動かしてる。時々腕を回したりもして。
「どうしたの?」と聞いたら、
「あのね、この前さぁ、スコップで土を掘ったりして、腰を痛めてさぁ、ギックリ腰みたいになっちゃって、そんでさぁ、腰がその後、奇跡的に治ったのよ、ラッキーと思ったらさぁ、今度肩のほうにいっちゃって…」
いつも元気そうで、病気というイメージが全くないKさんにしては、具合悪いというのは珍しい。

「スコップで土を掘るって、何をしたんですか?」
「あははは、ね、聞いて。私、最近玉ねぎに興味を持って、植えてるの。でさぁ、うちの敷地でやるのつまんないからさ、すぐ裏の山を開墾してやろうと思って…」
「山?!山を開墾?!一人で?玉ねぎを植えるために?」
「そうそう、もう150株を植えたの」
「す、すごい。で、山で穴を掘る時に腰を痛めた訳ね」
「そうなのよ。私、昼間やることいっぱいで時間無いじゃない、それで夜しか時間ないから…」
「なに?山で土を掘ったりしたのは夜っていう訳?!」
「そう」
「あなた何をしてるんですか!普通そういう行動は、犯人が死体を埋めることしかイメージ浮かばないですよ」
「あははは、あ…、そうだろうね、その時もし誰かが通りかかって見かけたら、不審に思うだろうね」
Kさんはちょっと唖然とした様子。


その光景を想像するだけで、ぞっとする。Kさんは浮世離れした方だな。


「でさぁ、また続けて植えようと思ってるの!あと150個ぐらい、ははは」


まったく…
「夜中、山に行ってそういうことやるのはよくないと思いますよ。だから腰を痛めたのかもしれませんよ。何かに怒られたとか」
「えっ?そういうこと?あ〜そうだね、ありうる。山の木を切るのも先に挨拶をして、酒かなにかを撒くようにとよく聞くもんね」
「とにかく行って、あやまったほうがいいですね、そのなにかに」


その後Kさんの知り合いの早大生と合流、新大久保で昼食を。
新大久保で降りるのは、初めてかもしれない。
韓国人の多い街だとよく聞く。
噂通り、韓国料理屋さん、韓国の茶菓子やお茶の喫茶店、いわゆる韓流スターのグッズの雑貨店、ヨンさまの笑顔のカレンダーが目立つ。


中国生まれの朝鮮族のお店に入った。
基本的は中国東北料理。朝鮮料理の辛さも入れて、メニューをみるだけでも美味しそう。

自家製のもち米の腸詰。

辛いタレを付けて食べる。


麻婆豆腐も本格的。

香ばしくてたまらない。


イカと野菜の炒めもの、Kさんの注文



薄切りの乾し豆腐の和えものと水餃子。

和え物は甘酢っぱくて、辛くてとってもおいしい。
水餃子は懐かしい味で、故郷でよく食べるニラの水餃子を思い出す。


二人は韓国のお酒を飲んでた。
最初中国のお酒を頼もうとしたが、40度に近いと聞いて、よした。
私は飲めないが。


Kさんは昔一緒にモンゴルに行った時、60度の強いお酒じゃんじゃん飲んで、少しも酔わなかったほど酒に強いんだ。


昔話をたくさんした。
真冬の北京に夜に着いて、空港から乗ったタクシーの恐怖体験。
モンゴルでマイナス16℃のKさんの格好(あまり大げさだから、デパートの店員さんに、「あなたは外モンゴルから来ましたか?」と尋ねられた)。
山から降りてきたばかりという超能力者との奇遇。
私の父親が日本に滞在した時、三人で一緒に行った海、それと海を見た父が歌いだした日本語の歌…。


なんだかつい去年か、せいぜいおととしの出来事のようだけど、数えたらみんな十年以上前の話しという事実に、びっくりした。
人生はこんなもんかなって、感慨深いものだった。





Kさんからのお土産。巨大な椎茸。
そのまま焼いて醤油を垂らしていただくか、味付けした挽肉を詰めて焼くのか、まだ迷ってる。




Kさんからの、手造り竹炭の石鹸。


Kさんは、いろんなことに興味を持ち、いろんなものを作った。楽しそうに。
Kさんは、やっぱり浮世離れした方だな。