人形町



ふみが生まれてから、なかなか落ち着いてトイレもできないことにもう慣れたの。
もうそろそろ三歳のふみは、だいぶこっちの話しも聞くようになって、ある程度の分別もつくようになった。なのにトイレやっぱりまだ一々付いて入ってくる。
ふみ、トイレは静かにするところだから、ママ一人にいたいの、と説得し、ふみは真面目な顔で聞いてた。
「わかりました」とふみはこう言って潔く出て行った。
あ〜さすがもうすぐ三歳だな…と思った途端、ドアのノブが回され、黒い髪の頭が少しずつ覗き込んで、「おばけでし」とふみは自ら笑いが止まらなくなった。


もう〜しょうがないね。


ふみの体に二ヶ所ほど軽い湿疹のようなのができたので、近所の皮膚科に連れて行った。
乾燥が原因だと、先生は保湿の軟膏を二本もくれた。湯上りに塗るようにと。
いつも頑張って塗ってあげるけど、ふみはおとなしくやらせてくれないから、今度はお医者さんの話しだから、ふみはきっと聞くだろう。
皮膚科から出てエレベーターに乗ったら、何か芳香剤の匂いがしていて、ふみは深い息を吸ってから、「Jの匂いだね」と。
Jとはふみと同じ組のフランス人のJ君のこと。
そうか、J君はいつもこんな香りがするんだ。
そういえば近所のドラッグストアでよく外国製の柔軟剤を売ってる、いろんなお花の濃厚の香りの大きい入れ物だった。



人形町に行って来た。
人形町にある夢二グッズの小さい店「港屋」で、夢二の絵のカップを買いたかった。今まで使ってるのはちょっと欠けてたから。
銀座で日比谷線で乗り換え、人形町で降りた。


甘酒横丁に入ったが、日曜日のせいか、人影がすくなく、ちょっと寂しい。
明治座に向かう人たちは早足で通る。
今、明治座では「三丁目の夕日」をやってる。



港屋は休みだった。残念!
たい焼き御三家の一つである人形町の「柳谷」も日曜日休み、残念。


子供用作務衣。



こんな路面は踏みづらいね



どなただっけ?



懐かしい。こういうレトロな物は好き。

ふみは、ポストのどこから手紙を入れられるかと探してた。
どこからも入れられないようにしてる。どこかが開いてれば、たぶん間違えて入れる人がいるでしょう。



駄菓子バーだって。店内においてある駄菓子は食べ放題と書いてある。




人に聞いたら、甘酒横丁のお店は、日曜日に休んでるところが多い。もっと早く知ってればよかった。



少し歩いたら、水天宮に着いた。
ふみ生まれる前に、戌(いぬ)の日に、ここでお参りして、安産の帯を頂いた。
あれから行ってないから、ちょうどいいわ、ふみを連れてお礼を(ついでみたいで、ごめんなさいね)。割と急な長い階段を登って、

水天宮は休日こんなに混んでて、ふみを連れて、少し遠いですが、本殿に向かっておじきしてお礼を言った。


はとバスだ」とふみは道端の玩具や駄菓子の売店の前にしゃがむ。



千歳飴を選ぶ母と娘。




今度いつか土曜日また来るわ。人形町。夢二のカップとたい焼き。