食べないでくだしゃい

雨です。冷たくて。最高気温は8度だと、まったくそんな感じだわ。

午前、ふみと近所のスーパーへお買物。日曜朝市という恒例の安売りなんだ。
ふみも私もダウンコート、ふみはその上にレインコートも着せた。
「寒いね。天気予報、言ってた?」と、坂道を下がりながら、ふみは言った。
「言ってた言ってた、今日は当たってるね」



雨でも朝市のスーパーは相変わらず混んでる。
ふみは相変わらず魚コーナーを一番真剣に見る。
「さんま!…ママこれなに?」
「サバだね」、魚が全然詳しくない私はタグを見て答える。うん、でもサバぐらいは知ってるわよ。
「サバ買ってぇ、ママ」
「サバ?シャケにしようよ」私はシャケが好き。青い魚は体にいいらしいけどね。


「ママ、いちご!いちご買って、いちご買って」
いちご、買いました。
「パパと一緒に食べようね」と、ふみは笑顔で言った。
えらいね、大好きないちごなのに、パパが帰ってくるまでガマンするんだ。


買いたかった長芋がなかった。
この前、教えてもらった“長芋の輪切りフライ”を作ってみたら、ふみたくさん食べてくれた。嬉しかった、でないと長芋なんか食べるわけがないから。
今度は長芋、片栗粉、カレー粉を使った揚げものを作ってみようと思ってるのに。
仕方ないや、午後にでも違うスーパーに行ってみるしかない。


冷たい雨の中、買い物袋を腕にかけて、傘をさして、片手はふみの手を繋いで、坂道を登る。


「パトカーだね」とふみが。
遠くからパトカーが来た。ゆっくり進行して、いつものパトロールと変わらない。


パトカーはゆっくりと止まった。
若い警官が降りた。向こうのドアも開いて、もう一人の警官も降りてきた。
二人は全く迷いなく、一つの方向に向かって慎重そうに歩く。


なになに?その向かう先は何があるの?見るのが怖くなる。
それより、すぐ妄想が始まって、狙われた犯人が逃走し、私たちを人質に取って、そうしたら私は全力でふみを押し出し、警官か通行人に「この子をお願い」と言って、でもバカふみはまた私のところに戻ってこようとするんでしょうね、泣くんでしょうね…


あ〜現実に戻ろう戻ろう。
「おまわりしゃん、なにしてるの?」
「早く帰ろう、犯人来るかもしれないから」
「はんにん?」
「悪い人」
「…」


うちに着いて、荷物を降ろして、いちごは仏様の前に置く。
そうだ、神社の餅つき大会に行かないと。
犯人は…、最初からいないよ、あれは、あれは自転車か何かが盗まれたとの通報で、しかも結局それも勘違いだったということよ、きっと。
「ふみ行こう、ペタンペタン餅つき大会」



この寒さと雨だから、餅つき大会に訪れる人は少ない。
カッパを着てる区の議員さんと町内会の方たちが、寒そうにテントの中に立ってる。

1パック200円で、2パックを買った。

ふみ、なぜか無表情。
無表情にご挨拶をして、無表情にお餅を食べた。
「あんこいらない、お餅だけでいい」とお餅だけを少し食べた。


つきたてのお餅、暖かくて、市販のと違って多少ザラザラ感があって、おいしい。
しかし以前は、ただで食べさせてくれた記憶が…勘違いかな、不況のためかな。ちょっと寂しいよね。


昼食は、ふみのリクエストのカレー、子供向きのインスタントカレーだけど、ふみは好き。
「ママ見て、ふみちゃん人参も食べてんの、保育園でもいつも先生に見せてるよ」と、ふみはスプーンの中のカレーのサイコロ人参を見せる。


食後ふみは、
「ママ、仏しゃまはいちご食べちゃうの?」
「ん…、香りだけ食べるらしいよ」



昼寝から起きた時、雨はもう上がった。
ふみと、違うスーパーに長芋を買いにいくことに決めた。
出かける直前、ふみは急に仏様の前に走って行って、
「仏しゃま、いちごを食べないでくだしゃい!香りも食べないでくだしゃい」


(^◇^)


剥きエビを買って、鶏の挽肉と小松菜で、春巻を作った。
春巻は時間かからない。皮は既成のだから、あっという間できる。



ふみは春巻、さほど好きでもないみたいだった。
ニラが入ってるせいかと思ったら、今日のは、ふみの大好きなエビが入ってるのにも関わらず、そんなにすすまかなった。
やっぱりふみは蒸した餃子だけが好きだね。




来年の干支の丑の置物を買った。
ちょっとかわいらしいと思って。

貯金箱になってるが、なんかいやらしいから、お花を差した。