雨の一日

夕べから雨。これで乾燥がちょっと解消されるんでしょうが、洗濯物が外に干せないのがたいへん。


そう思いながら洗濯機に、洗濯物と、なぜかタンスにあったおむつを一枚入れてしまったらしい。(なんで?!)


すると朝の貴重の時間に、急いで洗濯物を干さなきゃならないのに、洗濯機を開けてみると、すべての物にゼリー状の粒が…(へぇ〜おむつの中の構造はこれですね〜と感心する場合っか!)
\(◎◎)/!


浴槽で洗濯物を洗って、また洗濯機に…
まったく、だいじょうぶかい?!私!



雨の中、レインコートのふみと登園道。


今日はゴミの日。大きい袋はパパが朝早いうちにもうだしてくれたけど、その後出たゴミを小さい袋に入れ、ふみに持たせた。
ふみはゴミを捨てる任務に、光栄を感じてならないである。


外に出た途端、ゴミ収集車がもうこの置場からゆっくり離れて行ってるんじゃないか!
ゆっくり走ってるゴミ収集車の後ろを早足で歩く作業員は、道端の置場のゴミを手早く収集車の中に投げ込んでいる。


緊張感が走る。っていうかふみと手を繋いで走ってる。
ふみは長靴で雨水を弾きながら、「お願いしまし!お願いしまし!」と叫ぶ。
“おじしゃん”一人がふみの声を聞き、立ち止まって私たちを待ってくれた。
「お願しまし」とふみは手に持ってる袋を“おじしゃん”を渡した時また言った。
「ありがとう」、“おじしゃん”はマスクを付けてるが、声ははっきりと聞こえた。


“おじしゃん”二人運転席に座り、運転手さんと三人で私たちに手を振った。
ゴミ収集車は走って行った。


ふみの口は閉じることができなくなった。
「ははは、間に合ったねママ」「おじしゃん、ありがとうって言ったねママ」「ゴミ収集車のプレート開いてるねママ、だいじょうぶかな、ゴミぶら下がってるよ。コウモリみたいだね」
!!。なるほど。ぶら下がってる蝙蝠を、ふみと動物園で見たもんね。


「ね、ね、ママ」
「なあに?」
「おじしゃん。ありがとうって言った?」
「言った言った」
「ふみちゃんも聞こえた?」
「聞こえた聞こえた」
「うん」

「ね、ママ」
「なに?」
「おじしゃん、ありがとうって言ったね」

憧れのアイドルに声を掛けられたファンみたい。


向こうから自転車のKさんが来た、私たちに「おはよう」と挨拶。
「ふみちゃん、Kさんよ、ご挨拶は?」
「ありがとう」
?!ありがとう?もうおじしゃんの言葉しか、頭にないふみであった。

(^o^)/



「ねふみ、」
「なに?」
「洗濯機壊れるかもしれないね。」
「ママがおむつを一緒に洗ったから?」
「そう。大丈夫かな、本当に壊れるかもよ。困ってしまったね」
「大丈夫よ、ふみが電気を買ってくるから」
「?。…。ありがとう」




保育園に着いて、ふみは部屋に入った途端、先生に
「ママ、洗濯機でおむつを洗って、困ったよ」と告げた。
えー!
ゴミ収集車の話しをすればいいのに。


先生が笑いながら「あるある、あたしもやってた。あれ、ぬるぬるになって、たいへんだもんね…」と。



雨が強くなったり弱くなったり、暗い一日だった。


ふみをお迎えに行って、金曜日は荷物が大きくて、雨だし、タクシーで帰ってきた。


タクシーの中で、ふみに肝心なことを訊ねる。
「今日はお昼寝した?」
「してない。」
「はぁ!?本当?してないの?!」
「した。」
「どっちよ!」
「した。」
「本当?どの先生がトントンしてくれた?」
「誰もトントンしてくれないよ、ふみちゃん一人で寝たよ」
う〜ん(ありえないね)
「寝る時、隣のお友達は誰?」
「誰もいないところでふみちゃん一人寝てたよ。」
(ますますありえない)
「そう?かわいそうだね」
「うん。一人で、誰もいなかった」
「廊下で?」
「うん」
だめだこりゃ、作り話エスカレートになってるわ(誘導尋問により)。
「ママ、先生に電話して聞いてみるね」
「えっ?…えっと、えっと、N先生がトントンしてくれた」
(^_^;) やっぱり。



今日はパパがお仕事で遅くなるから、夕飯なに食べたい?とふみに聞くと、
「おでん」、だって。
おでん?昨日この話をする時、ふみは「コーンスープとピザを食べたい」と迷わずに言った。
近所のファミレスのメニューだけど、ずいぶん長いこと行ってないけど、まだ覚えてるんだ。


「おでん?ふみちゃん、ピザとかコーンスープとか食べたいんじゃないの?」
「ピザ〜!」ふみ急に思い出したみたい。



コートを着せる時ふみは、
「ママ、あのお花は?ふみちゃんを待ってるお花は?」


あの萎れた花のこと?まだ覚えてるんだ、とうに忘れたと思った。



「お花ね、お空に帰ってしまったよ」
「いつ?」
「夕べふみちゃん眠ってる時。お花がふみちゃんにありがとうってお礼も言ったよ。チューもした、ふみちゃんのほっぺに。知らなかったの?忘れたかな?」


「…。イヤだ。要るの」と、ふみはじっと私を見て、鼻の先がだんだん赤っぽくなってきた。目頭にちょっと光った物がある。
ふみは涙をぐっと堪えてるんだ。


涙がでるなんて思わなかった。
ふみは繊細なのか、荒いのか掴めないや。


雨の中、再び出かける時、もうすっかり暗くなってた。
街灯の下で、ツバキか山茶花か、二、三個、雨に打たれて落ちてた。


「ママ、帰りこのお花を拾って帰ろうね。」とふみはなんだか慰められたような顔で言った。
「いいけど、拾ってなにするの?」
「一緒に遊ぶの、ショベルカーで遊ぶの」

出た!
(お花はショベルカーなんて興味がないんだよぉ〜)


「ママ」
「なに?」
「財布持った?」

吹き出してしまった。情けない〜〜〜頼りない〜〜
(=_=)


ファミレスで、ふみおいしそうにたくさん食べた。ジュースも飲んだ。
「ママ、最後はプリン食べようね」
「ムリムリ。ふみちゃん自分のお腹を触ってみて、いっぱいよいっぱい」
「食べたいの!」
「ふみ、あと一口で、ふみちゃんのお腹はもう爆発するよ。バーン〜っと」
「…」



帰り道のふみは、無言で、顔も深刻そうだった。

食べ過ぎで具合でも悪くなったのかしら。戻したりしないでしょうねって心配して、
「ふみ大丈夫?」
「うん」
「具合悪くない?吐く?」
「吐かない」


「ふみ本当に大丈夫?」

「ママ、ふみちゃんお腹、爆発しない?」と、ふみは細い声で言った。


はははは、なんだ、ずっとこれの心配だったのか。


「しないしない。治ったみたいね。やっぱり歩くと消化するね」

「ママ、今度ピザ食べに行く時、風船を持って行こうね」

なんで?!
膨らんでるから?爆発するから?警鐘のつもり?身代わりにしてもらうとか?
…三歳児は謎だらけや。



保育園からの便りに、“大きくなった会”のお知らせが載ってあって、ふみたちの写真もあった。

「ふみ、来週の大きくなった会、ママ見に行くからね、ふみちゃん頑張ってね。」
「うん!ママふみちゃん抱っこして一緒に見ようね」とふみはとっても嬉しそう。

一緒に見る?違う違う、ふみちゃんは参加するのよ参加。

でもどうでしょうね。運動会みたいな感じでしょうね、ふみは。


「パパ早く帰って来ないかな。パパ会いたい」と涙一行のふみ。
あらまぁ〜、いつもより何時間遅れてるだけなのに。