風も珈琲を飲む
2日間の雨の後は強風、洗濯物が飛ばされないようにしっかりと止める。そしてあっという間に乾くのが気持ちよくて。
私はとにかく洗濯が好き。
スーパーに行く途中、「飛ばされちゃうよ飛ばされちゃう」とふみは風に向って目を細めて言う。
冷たい空気がお腹に入るから口を閉じてと言ってるのに。
そろそろ立春だね。
それからは桜が咲きみだれ、暖かい日差しに包まれる…、春が待ち遠しい。
そういえば今の冬は雪が降らなかったね。
おとといの金曜日に知人からメールが来て、持ってる土地の御祓いを行うから、来ない?と。
ちょっと風邪気味のと、悪天候なので、断った。
とても見に行きたかったけどね。
土曜日は、雨風の中、さすが出かけられなくて、ふみとうちにいた。
「♪夜が明けたら、一番汽車に乗るから、切符を用意して頂戴、あたしのために…」―――最近聞いてる浅川マキの歌を口ずさむ。
玩具で遊んでるふみがしばらく聞いていて、
「♪夜が明けたら、電車乗って朝青龍会いに行くから〜」と歌い出す。
「朝青龍会いに?ふみちゃんが?」
「うん。ふみちゃん電車乗って朝青龍会いに行くの」
「朝青龍に会って何を言うの?」
「朝青龍しゃん〜おっぱい飲ましてくだしゃい!」
(^o^)
「で、朝青龍はどう言うのかな?」
「だめだめ」とふみは不機嫌そうに眉をひそめて言う。
「ははは、それっぽいね。だめだめって。でもふみちゃんが“お願いします”って言ったら?」
「いいよっ!」とふみはとても気前よい口調で笑みを浮かべる。
(^o^)
それっぽいそれっぽい。
「朝青龍のおっぱいは、イチゴ味と葡萄味しるの」と、ふみは嬉しそう。
それ、ふみのフッ素入り歯磨き粉の味じゃん。
働く車の絵本ばかり研究するふみを見て、お勉強になる絵本を見せないとって、そういう系の絵本を取り出して、中の一ページふみの目の前に開いた。
「ふみ、このキリンさんとこの馬さん、どっち高い?」
「ママ、キリンしゃんクレーン車似てるね、あママ、この間ピンク色のショベルカー見たね」
「見た見た、ピンク色に白い水玉、びっくりしたね」
「おじしゃん、珍しいでしょうって言ったね」
「うん、言った言った」
あれ?なんでこの話しになった?お勉強お勉強。
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一頭ずつのいろんな動物がいる中で、猿だけ背中にもう一頭載せてる。
「ふみ、よ〜く見て。この中に、みんなとちょっと違うのがいるよ、どれなのかな?どう違うかな?」
「…えっと、パンダしゃん。パンダしゃん足みんなと違うね、ケガしたかな、ちょっと絆創膏貼ったほうがいいよ」
…(>_<)
お勉強、やめるわ。
ご飯を食べたばかりのふみ、また体力の無駄遣いの連続ジャンプが始まってる。
「ふみ、ご飯食べたばかりにジャンプしない」
「なんで?」
「お腹に盲腸があって、ジャンプすると、食べたばかりのご飯が盲腸に入ったらすごく痛くなるよ、入院して手術しなきゃならないの」
「ん〜モウチョウ。…。わかった。モウチョウは海賊のおじしゃん、船乗ってくるんだよ」
?!どういうイメージ?
この盲腸の話し、大昔に、甥っ子に当たる小さい男の子に言ったことがあって、まじめな顔して聞いた男の子は、
「わかった。モウチョウは、緑色」と言ったのが、今でも覚えてる。
子供は盲腸の話しを聞いて、どういうイメージをしているんだろうね。興味深い。
昼寝の時、ふみに、高所作業車の話しをしてぇ〜と要求された。高所作業車なんて知らないわよ、たまに電信柱の作業に乗ってるぐらいしか、認識がゼロである。
「…、わかった。はい、始まり始まり〜むかしむかし、ある高所さんと作業車さんがいました。ある日、高所さんが、“おいっ、作業車さん、山にキノコや自然薯を取りに行くね。あ〜山は高いな、登るのたいへんだな、なんかいい方法ないかな、大きいキノコが自分でどんぶらこどんぶらこ(桃太郎を思い出さたらごめんなさいね〜)とおりてこないかな”と高所さんは山に出かけた。作業車さんは、“わかった。おきをつけてね”といつものように?作業を始めた」
ふみはとても真剣な顔して聞いてる。
話は結構長くて、とにかく高所さんと作業さんはそれぞれ頑張ったけど、結局一緒に働くことで、もっと効率よく結果をだすと気づき…みたいな、だから高所作業車となったわけ、と。
「もっとお話をして、高所作業車の」
勘弁してぇ〜
しかし風はよく飽きずに吹いてるね。
「ママ、風やんだみたいよ」
「ん〜やんではいないね、風だって、ずっと吹きっぱなしだと疲れるから」
「風も休憩しる?休憩してコーヒーを飲んでまた吹く?」