ガイ
夕べからの雨は思ったより早いうちに上がり、強風だけが残りました。
坂道を登り、向かい風に、ふみは、
「ママ、ふみちゃん風と闘うからね、風〜ガイ!風、ガイ!ガイ!」
「なにふみ、その、ガイは」
「ガイ、ガイ、ママが怒る時言ってたじゃん、風、ガイ、ガイ…」
「…。あはははは」と、わたしは立ち止まって大笑いしちゃいました。「ガイっか…」
ガイとは、中国語の“該”の発音でござる。
“該”はいろんな意味がありますけど、怒る時やケンカの時に使う“該”は、“ざまあみろ”の意味ですね。
何回もふみに注意していたのに、懲りないふみは、またやってしまって泣いたりする時、思わず「ガイ」と言ってしまうわたしです。
しかし“該”は、ふみに向かって言うまでは、何年ぶりだろう。
子供の時はよく使っていました。ケンカの時相手に向かってとか、懐かしい。
ふみに向かって、無意識にこの大昔の言葉を使ってるんだ、興味深い話なんですね。笑っちゃうね、とても面白いね。
他人には理解しがたいかもしれないが、わたしは、「かぜ、ガイ、ガイ」と言ってるふみを、言葉じゃ表し切れない面白さを感じていました。
同時に、自分のおとなげなさにちょっと汗顔。(=_=)