君さん

ふみは今日、二回も泣いてしまったのです。

けさ、テレビの子供番組を見入っているふみを見て、パパはそのまま仕事に出て行ったのです。

パパが出て行った数秒後、ふみは気づいて、泣き出しました。
「パパにいってらしゃいを言いたかったぁ、どうしてパパは行ったの?パパに会いたい、あ〜〜〜」
仕方なく裸足のふみを抱っこして走って追っかけたら、もうパパは行ってしまいました。


「どうしてパパ行っちゃったの?ふみちゃん、いってらっしゃい言ってないのに、いってらしゃい言いたかったのに…」、ふみは、しばらくしくしくして、悲しそうでした。


パパにメールしたら、電話をかけてきて、ふみと少し話をして、ふみやっと機嫌が直ったのです。


あんなに悲しく涙ぼろぼろで「いってらしゃいと言いたかったのに」と言うふみが心痛く感じました。


今日は音楽教室の日です。

12時に終わるので、昼食はうちに戻ってからでは、もう遅くなるのですから、近くで食べることにしています。


ファミリーレストランで、ふみは大好きなお子様ランチのカレーセットを食べました。
ふみは、ご飯とカレーを混ぜないで、さきにカレーを食べました。
それからご飯を食べて、でも、いつものようにあまり白いご飯は進まないです。
5分の2ぐらい残っているところで、ふみの手は止まって、飲み物を飲んでました。

テーブルの上をできるだけすっきりしたがるわたしは、自分のお皿とふみのお皿を、店員さんに渡しました。
店員さんは手早くお皿を持って去ってから、ふみは、
「まだ食べるの、ご飯を」と言いました。
「え?だって、食べてないし、カレーもなくなったから、もう食べないと思ったよ。ごめんごめん」
ふみは泣きだしました。
「イヤだ、まだ食べるの。ご飯まだあるの、カレーも少し残ってるの、あ〜〜」
ふみは、なかなか泣きやまないのである。


いつだったか、ふみ、やはりカレーのために泣きだしたことがあったな〜
原因は今日と同じく、もう食べないと思って、私が勝手に店員さんにお皿を渡して…

ふみは、カレーのために泣く人だと肝に銘じますよ。


帰り道に、ふみは思い出すたびに、「ふみちゃんまだ食べるのに、どうして…」としくしくし始まるのでした。



夜、パパと野球遊びして、すっかり上機嫌になったふみです。
テレビを見ているわたしのところへ走ってきて、
「ママ、君は…」
「君?ふみ、おとなに向かって“君”は使わないよ、失礼になるから」
「♪君にも、見える、ウルトラの星、は?」とふみは歌いだす。
「それも、子供がおとなに向かってるセリフじゃないから、おとなが子供に向かって歌う歌だから」
「じゃ、きみ、さん?君さんは?」

(^◇^) なんでも“さん”を付けたら済むことじゃないわよ〜