梅雨の中休み

小さい頃から酸っぱいものが大好きなふみは、お酢はもちろん、本物のレモンを舐めるのも大好きです。
レモンをなめてからの、その幸せそうな顔を見ていると、(これは本当は甘くておいしいんじゃないか)と思って、つい「ふみ貸して」と、そのレモンをなめるわたしです。

毎回ながら、レモンはしょせんレモンなんだ、と確信させられます。


最近、朝食後、優しい味のビタミンC錠剤をふみに与えてます。どうせふみは野菜を食べないんですから。

一粒の錠剤を、毎朝パパが、噛み割って、半分ふみに渡します。


パパは、よく忘れます。するとふみは、
「あっ、ビタミンCはまだだね」と、一回も忘れることがありません。


ふみは、その半分のビタミンCの錠剤を、いっぺんに食べるのがもったいなくて、いつも手で持って少しずつ舐めることにしたいようです。
そうはいかないから、毎回直接ふみの口に入れます。それがふみは不満なんだ。


今朝、ふみは口にビタミンC錠剤をくわえて、畳の部屋に入って、入った途端、丁寧に扉を閉めたのです。


なんだろうとは思ったけど、でも朝はやることが多すぎるから、別に気にしないのでした。


洗濯機が止まった音が聞こえ、ベランダに洗濯物を干しに行くために、畳の部屋の扉を開けました。

中にいるふみは、パパのギターケースの上に座り、片手に半錠のビタミンCを持って、なめたばかりでしょうね、幸せそうな顔をしてました。

急に入ってきたわたしを見て、ふみびっくりしたようす。
ふみは、あわててその半分の錠剤を口に入れ、そのベトベトする手を、パパのギターケースで拭いた。



保育園まで送り、ふみはいつものように「お見送りしる」と言って、玄関まで付いてきて、ターッチしたり、ばいばいしたり、なかなか離れようとしない。
やっと出られて、後ろからふみの声がした。
「ママ、ママ」
「なに?」と振り向いた。
「ママ、お仕事、頑張ってくださいね」
「えっ?」
「お仕事、頑張ってください」
「ありがとう」


保育園をあとにしたわたしは、気づいたら、なぜか涙が出てきていました。


この頃、真夏日が続いてますね。晴れて風もなく、暑いや。

ひまわりを買った。真夏日には似合うお花。

蓮も暑いと言っているのかしら。