声をかけられて

新宿のツタヤにDVDを返しに行こうと、ふみと出かけた。
お天気さえよければ、新宿までは歩いて行くことにするのが、もう普通になってる。
わたしもふみも。

太陽がきらきらで、二人とも帽子をかぶってる。さすが日傘はちょっと。





交番の前に立ってる若いお巡りさんに、ふみは「こんにちは」とご挨拶。
そのお巡りさん、笑み少しもなく、ふみに敬礼をする。なかなかおもしろい警官だ。

ふみもあわてて敬礼をした、表情かなり緊張気味。おもしろい。



地下鉄二駅の距離を歩いた時、ふみは、のど乾いた疲れたと言うので、ファストフード店に入った。

コーヒーやコーラばかりで、ふみの飲めるものは、CCレモンしかないわ。

ふみはCCレモンが初めてなんじゃないかな。うれしくて、「CCレモンCCレモン」とずっとにこにこして言う。

「ママ、CCレモンはサムライ戦隊の“し”だね」
「サムライ戦隊?“し”はないんじゃない」
「…、サムライ戦隊シンケンジャーの“し”だね」
「ま、でもちょっとムリヤリね」
ふみは全然気にしない、CCレモンを最後まで飲みほした。



また歩き出して、しばらくして世界堂に着いた。世界堂でお葉書を見たり、おトイレも借りた。
世界堂から出て少し歩いたら、女性に声をかけられた。


50代かな、お洒落な女性だった。


今まで街に歩いてると、声掛けられることは何回かあった。
変な宗教の勧誘とか、占いとか。
占いも、実際は同じような宗教集団の勧誘らしい。

また一回は、「うちのお洋服店で働きませんか」との話で、名刺を渡されて、わりといい場所の店だった。結局わたしは電話をしなかった。

また一回は、公園で遊ぶふみとわたしに、大きいカメラを持ってる人が来て、写真を撮らせて下さい、後日、代々木公園でその写真展があるからと。
ふみを抱っこして写真を撮らせた。
教えてくれた日に代々木公園へ、ふみと行った。
ほんとうに写真展があって、ほんとうにふみとの写真が飾ってあった。



今日の声をかけてきた女性は、あるプロダクションの子供タレント新人開発部の人。
ふみの名前を聞いて、「芸能の仕事に興味をありませんか?ぜひ面接に来てほしい」と。

これはまた心外だね。


ふみに聞いたら、最初はやりたくないと言って、また何を考えたか、やりたいと言い出した。


女性はわたしの携帯番号を聞いて、やっぱり面接に来てほしいと。


それからふみに、「何歳なの?」と聞く。
ふみは、「3歳」と3本の指を立てて見せた。

「え?!」と、女性はやや驚いた様子。「5歳の子役を探してるんで、すっかり4、5歳かと思いました、大きいね〜、でも全然いいんですよ、面接を…」


あらま、ほほほほ。



その後パパに話したら、答えは、反対だ。だって。
ありゃ〜 ほほほほ



街の花屋、もうハロウイン一色。