餅搗き

昨日の昼過ぎから降り出した雨は、夜中に上がって、朝、眩しいほどの青空を迎えました。

こんなよいお天気だから、出かけないともったいないですね。



徒歩、新宿御苑へ。
途中、隣の町内会の餅搗き大会をやっていて、わたしたちを見て、「十一時半から子供の餅搗きが始まるから、来てね」と声をかけてくれた。


“餅搗き”との一言を聞いて、ふみのテンションが上がった。その後、
御苑で、ずっとハイテンションのままのふみです。


御苑は、穏やかな朝日に包まれてる。



紅葉はだいぶ落ちて、絨毯となっている。


「ママ、ここはさくらんぼも出るよ」と、ふみは大きな銀杏の木の隣に立てられている解説の板を指差して言う。
さくらんぼ?それはないよ。これは銀杏の木だもん」
「見てよ、描いてあるよ、さくらんぼの絵」
「どれどれ?」、見てみたら、あれ?銀杏の葉っぱと、一つ枝からできてる二つの丸い実、これはさくらんぼの典型的な形じゃない。
「本当だ!ごめん、見ないで言っちゃって」とふみにあやまった。

「ふふふ」と、後ろから笑い声が聞こえた。吹き出したような。
振り向いたら、男の人がすぐ後ろで立って、
「それ、銀杏の絵ですよ」と。

銀杏? …。それはそうですよね。考えたら、銀杏の木の実は、銀杏に決まってるじゃない。

「銀杏、食べたことない?」と男の人は笑いを堪えてるようだ。
「ありますけど」
「坊やは?」
「この子、銀杏が嫌いなんです。くさいと言って」
「においはそうだけど、食べるとおいしいよ、はははは…」
男の人はやっぱり笑いだした。

あ〜、わたしももう少し考えればよかったね、銀杏に決まってるじゃない。

でも、道に落ちてる銀杏は、さくらんぼのように二つくっ付いてるの見たことがないもの。



ふみは急に、
「ママ、御苑も僕のお殿様のお友達がいるんだよ」と言い出した。
「お殿さま?あのモリセイコウ?」
「違うよ。もりせいこうはここにはいない。ここのお殿さまは、だいじどうというの」
「ダイジドウ?へぇ〜」

「ほら、これはだいじどう殿さまのポーズ」と、
ふみはこの姿勢をやって見せた。



なるほどね。でも殿さまより、ちょっと忍者っぽいね。
しかしふみはお殿様のお友達が何人もいて、うらやましいわ。

ちなみに、もりせいこう大殿様は、相変わらず“葉っぱとか食べてる”が、その目がボヨ〜ンと飛び出てるお嫁さんは、“から揚げ”食べる、だそうです。

「不公平じゃない、もりせいこうかわいそうね」とふみに言ったら、
「かわいそうじゃないよ」とふみは言う。
どういった設定やら、さっぱりなんだ。


「あ〜疲れた、一休み」と大の字になるふみ。
またまたふみを羨ましく思うママであった。




11時半、子供の餅搗き大会が始まり。
ふみは搗いて、食べて、また搗いて。


「パパにおみやげを持って帰るの!」とふみは何回も言った。


パパへのおみやげ。

こんなたくさん、食べきれないや。


念願の餅つきができ、上機嫌な一日でした、ふみは。


黄昏の街角。