ベルト

今日は一日冷たい雨、明日はさらに気温下がって、雨は雪になる可能性もでてきた。


夜中に、熱ぽっくて何回も目覚めて、朝、体温を計ったら、38°です。

かといって、そのまま休むわけにはいけないのだ。冷たい雨の中、ふみを連れて新宿の電気量販店の玩具売り場に行かなきゃならない。


昨日、下園の途中、小さい公園に寄って、Q君とそのママKさんと会いました。
しばらくKさんと、小学校への進路などのお話しして、ふみはQ君と遊んでた。


Kさんは、ベルトのような器具を取り出して、「仮面ライダーのよ、二つ持ってるから、ふみ君も一個付けてあげようか」と。

へぇ〜仮面ライダーのなんだ、そういえばそれっぽいね。こういうものに一切わけわからないわたしすら、なんとなくそう思う。

そのうちの一つを、Q君は腰に付けて、カチャカチャ、携帯電話のようなものを外して、ビビババと音を鳴らした。

ふみは、そのベルトを見た途端、もう目に異様な光を光らせて、嬉しいような、興奮しているような表情で、視線をベルトから外せなくなった。

なのにふみは、Kさんの差し出したベルトを見て、
「いらない」と言った。

いいのに、付けて遊んでればいいのにね。

でもふみは、複雑な表情になって、やっぱり「いらない」と。

Q君と同じ組の男の子が来た。
迷わずそのベトルを付けて、Q君と楽しそうに遊び始めた。
ふみは、黙って二人のうしろについてる。
やはり複雑な表情をしてるね、ふみ。


もう遅いから、「ふみ、帰るよ」とのわたしの声を聞くと、ふみはこっちに振り向いて、焦る。
「もう5時半だから、帰るよ」ともう一回言うと、ふみはさらに焦った顔で、「ちょっと待って」と。


ふみに近づいて、小さい声で「帰ろう、あれ、買ってあげるから」。
ふみの顔は一瞬晴れた。
みんなとバイバイして、
わたしの手を繋いで、うちに向かう。
嬉しくていっぱい話しかけて来るかと思ったら、
ふみは静かだ。
顔を覗き込んでみたら、なんと、ふみは泣いてるではないか。

「どうしたの?」と聞くと、ふみは黙って笑うだけ。
涙の笑顔、せつない。

「ふみ、…、嬉しいから?」
「うん!」


ふみは、ヒーローのベルトのために、涙を流した。



欲しい。
付けるのを拒否した自分に悔しさと後悔。
羨む。
そしてなんと、もしかして自分もこのベルトを所有することができる!

いろんな気持ちで、涙になったのかしらね。


買ってあげる。うん。ふみは本当に欲しがってるもん、あの目を見たら、買ってあげたい、嬉しい顔をみたいから。


夜、熱が少しずつ上がってきて、ふみが早く眠ったら、助かるなと思って。
「ふみ、ママはお熱があるから、ふみが早く寝ないと、ママも寝れない、そうしたら明日朝早くベルトを買いに行けないからね」
これを聞いて、ふみは即目を閉じて、動きを止めて、5分も経たないうちに、眠ってしまった。

記憶にないことだね。こういうパターン。


今朝、ふみは6時半にもう目覚めて、「ママ、今日はあれを買ってね、ふみ、おりこうしてたよ」


という訳で、発熱であろうがなんであろうが、ふみを連れて、あのベルトを買いに、冷たい雨の中、新宿へ出かけた。
ふらふらしながら、わたし、自分のためにこんなことをしたことあるのでしょうかと思って、やはり思い出せない。
地下鉄乗って。新宿に到着。

電気量販店はまだ開店前だった。


寒さの中で10分ばかり待って、開店。
玩具売り場に直行。

ふみの念願の仮面ライダーのベルトを購入。

ふみ、大喜び。


これでうちに帰ってゆっくりする、というわけにもいかない。
今日は音楽教室がある。再来週の歌の発表会に向かって、今は練習の大事な時間なので、休めない。


また地下鉄に乗って、音楽教室へ。
まだ時間が少し早いので、ドトールに入って、暖かいココアを頼んで、一休み。



歌の発表会では、ここだけではなく、他の教室の子供も一緒。
ふみが先頭に立つことに決められ、今日は何回もその入場を練習しました。
ふみは、わりとまじめにやってた。


本番の雰囲気に少しでも近付くために、親たちは端っこに並んで立って、手拍子をとりながら、観客のようにします。

(発熱中だけどね、わたし。早く座りた〜い)


無事に練習が終わり、昼食をとり、買物して、うちに戻った。
体温37.7°。頑張った頑張った。


さあ、少しでも眠れれば、と思いきや、仮面ライダーのベルトを付けてるふみは、あっちこっちのボタンを押し、うるさく変身中。


それでもわたしは疲れ過ぎて、うるさい中、やっと、うとうとしてきて、けど、まもなくふみに揺り起され…


早く、暖かくなって欲しいわ〜 春が待ち遠しいわ〜