長い昼寝
夜中、ふみやっぱり咳込んで止まらなかったりして、明け方にやっと静かになって、眠り始めた。昨日と同じパターンですね。
咳のせいで、目覚めた時のふみの顔は、ややむくんでる気がする。かわいそうに。
「出かけたくない、ベッドにいる」ふみは言う。
眠そうにはしているけど、眠れないふみです。
「ふみ、頑張って外に出てみようか、ダメならすぐ帰ってくればいいから」
「いやだよ、暑いし」
「暑いのは仕方ないよ。夏だもん。これから少なくとも、あと3カ月はこうだよ。自分の体をなれさせるしかないの」
ちょっといやいやながら、ふみはわたしの手を繋いで出かけた。ザリガニの水換えに。
今日、バケツを持つのはわたし。
今日は割り箸は持たず、手でザリガニを掴み出すと決めていた。頭の近いところをではなく、もうちょっと胴の部分を掴んだほうが、挟まれないからとパパが。
ザリガニ、その気持ちを察したようで、今日はとにかく鋏を振り回す。
手で掴むなんて考えをすぐさま放棄。
けど、ザリガニの警戒心は少しも消えない。わたしとふみのいる方に向かって、鋏を挙げたまま、少しずつバックする。
こっそりとザリガニの後方に回り、なんと、触角を四方八方動かすザリガニは、すぐそれを探知し、速やかに180度回転した。
なんでよ!ほんとうに。
戦車のような、いいえ、月に着陸したアポロ号なんだ。
かっこいいよ、ザリガニの君。
ふみも元気をもらったようで、滑り台で少し遊んだりした。
急に立ち止まったとみて、「どうしたの?」と尋ねたら、
「なんかかわったことないかなって、あっ、これ、前なかった」
選挙の掲示板なんだ。でも少し前から立ててあったよ。アップの顔のポスターが増えてるけど。
ザリガニをうちに置いて、餌を何粒かやって。またふみと出かけた。新しくできたドラッグストアに買物に行きたいから。
しかし暑いですね〜 今日も風が少しもないサウナ状態なんだ。
「ダレンちゃん、暑いでしょう」
ダレンちゃんはベロを出してばかりで、なんにも言わない。
「お蕎麦食べたい、冷たいお蕎麦、お腹すいた」ふみは朝ごはんあまり食べられなかったからね。
もう少しで昼ごはんの時間だけど、ふみと蕎麦屋に入った。
フライドポテトも食べたいとふみが言うから、それも注文。
ファストフード店のような大量な油でずっと揚げてるものじゃないから、たまにはいいかな。
ふみは一人前のお蕎麦をほとんど食べた。よかった、少しずつでしょうけど、回復しているよ、ふみは。
ドラッグストアで洗剤など買って、ふみとうちへ向かう。
少し疲れも見えるけど、機嫌はよいふみです。
うちに着いたら、出る時やった餌を、ザリガニが全部食べていた。元気元気。
最後の抗生剤を飲んで、ふみは眠った。三時間半も。
早くよくなってよねーふみ。