お盆

この頃、朝食を食べてから、ふみは自分で顔を洗うようになってる。

蛇口のところでパシャパシャ、タオルで拭いたら、「見て見て、今日あまり濡れてない」と、シャツの濡れ具合で自慢をする。
うん、確かに段々上手になってるわ。


それからクリームを塗る、これも自分で。

完了してから、乱れた太い眉毛を、指で内側から外へ向かって、真っすぐに整える。ママのアトバイスをちゃんと守ってくれてる。
身だしなみは、きちんとしてほしいものね。



貧血のお注射は、この頃よくH君のお母さんにやってもらうことになる。
ふみと同じ組のH君のお母さんは、わたしの通っている病院の看護士さんなんだ。

鉄剤の薬をわたしの静脈に注射しながら、
「七夕の短冊、すごかったね」H君のお母さんが言う。「うちのHが、さっきに気付いて、ザリガニだザリガニだって、見て見たら、すごいね」H君のお母さんは笑う。

ザリガニの話しになって、H君のおうちも飼ってると。やはり親子ふれあいデーでもらったもの。
「私、田舎育ちだから、わりと平気。挟まれても掴んだりするの、だって、私が怖がったら、Hはもっと触れなくなるから」H君のお母さん、素早く注射器を抜いて、アルコール綿で抜いたあとを強く押す。


そうか、わたしももっと平気にザリガニを摑まえるなら、ふみも…、ダメダメ、だってあれはU君のお母さんの手をケガさせるほどのザリガニだから。

今度、ゆっくりとあのザリガニを説教してみよう、きっといい結果になるわ。


ひんやりした風が吹く、雨降ったりやんだりの一日でした。
ふみをお迎えに行く時、ザリガニのバケツをぶら下げで行った、帰りに公園によろうと思って。


保育園の隣りビルの顔見知りの警備員さんに「なにをもってるんですか」と聞かれ、バケツを差しだして見せる。

「ザリガニだ!すごいね」50前後と思われる警備員さんは、少年のように嬉しそう。「イカとかやってるんですか?」

そんな生ものなんて!ザリガニの餌売ってますよ。



水を換える時、ずっとお散歩をさせてないと思って、中の小さいバケツを使って、ザリガニを外に出した。

ザリガニは大きい鋏を高く挙げ、バックする。ふみとわたしは右と左にいるため、ザリガニは鋏を右に向けたり左に向けたり。


ふみと前・後ろに移動、ザリガニは一瞬混乱した様子。少々止まってから、続けてバック。


バックのままで近付いてきたー!今度はわたしが逃げる。



今日は東京のお盆。近くお寺が多いもので、この何日間、お参りの人を多く見かける。

今日、わたしもお寺の法要に出ました。
茄子とキュウリの飾り。

御先祖様が帰ってくる時、馬に乗って早く、戻る時は牛に乗ってゆっくりと。
馬がキュウリで、茄子が牛、かな。


本堂のお線香の煙で目が沁みる。
日本人は故人へご供養するとの良い習慣に、いつも敬服している。


わたしも手を合わせて、心の中で、父親ほか故人の名をあげる、名のないものも。


今日は、我が家ほおずきを飾りました。


今晩、迎え火を焚く家もたくさんあるのでしょう。
ひさしぶりのクーラーをつけなくてもいい夜です。あ、雨がまた降ってきました。