涼しい
今日はだいぶ涼しい、これなら生きていけるという感じ。
夕方、ふみをお迎えして柔道教室へ。一ケ月ぶりに。
新しく買ったサイズぴったりの柔道着は、薄めで軽い。
一ヶ月ぶりの柔道、だいじょうぶかなとちょっと不安はあったが、ふみ、ぜんぜん平気でした。
それに、体力が付いて来たのか、最初に道場を回って何周も何周も走るのが、休憩せず、ずっとついていた。
前は、走ってる途中に疲れてきて、よくわたしの膝の上に坐って休んだりしてた。
「おまえ、お母さんに甘えてるな」と先生に言われる。
一ヶ月前のふみと比べて、落ち着きも出て来た。
先生たちのやっていることを、じーっと見ることが、前より出来てる。
倒されてる(当たり前)、また泣くかと思ったら、へっちゃらへっちゃら。
「ふみ!起きろ!すぐ起きないとケガするぞ!」
照れてるように笑って、さっさと起き上がる。
よかったね〜ふみ、確実に成長したね。
保育園にお迎えに行って、ふみの第一声は、「食べ物は?ご褒美の食べ物」でした。
「なに言ってるの?まず先生にご挨拶して、トイレ行って…」
ふみは大好きなレモン味の飴玉を口にして、幸せそうな顔で、
「あのさー、これから怒る時さー、口だけにしてほしいな」と。
!!「…」
今朝、ふみを叩いた。今、ふみが言ったのは、怒る時、言葉だけにして、手は出さないでほしい、との意味なんだ。
最近のふみ、何か指摘されると、意味あるかないかにはかかわらず、とにかくすぐ言葉を返してくる。
以前、東京生まれ東京育ちのKさんが、東京弁の特徴の一つはすぐ言葉を返すことだと。
そうかもしれないが、わたしはふみのこういったところに、どうしても腹がたってくる。
少し前の保育園の懇談会で、女の子のお母さんたちは、やはりこの点に悩んでた。
女の子と比べて、その時の男の子はまだずっと口下手で、あまり器用ではなかった。
今になって、女の子の親たちの気持ちがわかった気がする。
今朝、玄関を出かけようとする時、ふみが履いてるスニーカーは、右と左が逆になってる。
「ふみ、また逆だよ、ちゃんとみてよ」
ふみは全然聞いてないようだ。
「かっこうわるーい」
「かっこうわるいと言った人がかっこうわるい」
また始まった。急に腹たってきた。なにを言ったらいいか、というより、なにいっても無駄だと感じた。
ふみを叩いた。
一日中、いろんなことを考えた。
とくに、こういう自分がショックで…
なにしても気持ちの整理がつかず、デパートに行って、ふみの長袖パジャマを買った。もう秋は目の前だから。
パーカーも一枚買った。この夏に買った物でさえ小さくなったりして、ふみは止まることなく大きくなってゆく。
かわいいキャラクターの便箋も購入、シールと。
保育園のお友達の間で、お手紙の交換が流行ってる。お手紙と言っても、自分の名前を書いて、あとはシールとか貼るだけのものだけど、
ふみはこれに全く興味ないみたい。貰ったりもするのに、返すことはない。
「ふみ、Hちゃんのお手紙、返さなくていいの?一緒にやろうか?」
「いいの、あとで」
いつもこんな調子。
たまに、「ぼく、3回しかお手紙もらってないな」と言う。
「当たり前よ、お手紙はやりとりがないと、貰ってばかりで、誰も出したくなくなるよ」
それでもふみは行動に移さない。
なのに、なぜかわたしは便箋を買った。
お箸も。
横に手を繋いで美味しそうに飴玉を食べるふみを見た。
怒る時は、口だけにしてほしい。(手を出さないでほしい)
「…。ごめん。ふみ。ママはこういう人間じゃなかった。ほんとうに、でも頑張るから、ほんとうに」
「うん、わかった」ふみは飴玉を噛みながら言った。
夜、雨がまたザーザーと降って来た。明日はさらに涼しいらしい。