「ママ、たいへん!お花みんな倒れてるよ」
ふみの声で網戸に行ってベランダを見てたら、ほんとうだ、とくに高く伸びたハーブ、かわいそう。

昨日から雨は勢いよく降り続けて、気温もだいぶ下がってきた。


少し弱くなったと見て、ふみと登園。
水溜りを見つけると、リュックをしょってカッパを着てるふみは、わたしの手を離して走って行ってジャブジャブ。

「はねて来るからー」
「ぼくがやったんじゃないよ、雨がやったんだよ」ふみは笑顔でさらにジャブジャブ。


ふみのおかげで、気分は快晴(^^♪



小さい時のふみは、通園道の途中にあるお寺を通るたびに、そこの車止めの二つの石に近付き、口を石にくっつきそうな距離で、「あばじゅ、あばじゅ」を呼んで、
その二個目の石に同じ姿勢で、今度は「あびじゅ、あびじゅ」と呼ぶ。

そのあばじゅとあびじゅは、身長が20センチほどで、着物を着ているらしい。

「今日は、あばじゅはあびじゅを探してるの」
「今日はあばじゅはお仕事してないの」
などなど、その日その日、お二人の近況を知らせてくれるふみだった。


何日か前から、その石のところを通る時は、「あばじゅも、あびじゅも、消えた」とふみは言う。
「消えた?ふみはもう、見えなくなったってこと?」
「う〜ん、見えないじゃなくて、消えたの」ふみはわりと平気。


あばじゅとあびじゅ、ありがとうね、小さい時のふみを楽しませてくれて。
ご無事とお幸せを、お祈りいたします。